2018年1月18日(木)
三軒茶屋のお隣、三宿の交差点のかどっこにたいやき屋さんができたのは半年くらい前。こんなに駅から離れていて排気ガスに満ち満ちた国道246号線の目の前でたい焼きなんか売れるのかな?
そう思っていたけど案外売れています。
三宿では異質に映る筆文字で大きく「天然たいやき」と書かれている。もし景観条例があれば抵触しそうな勢いで。天然のたい焼きとは何か、天然でないたい焼きとは何なのか。まだ食べたことがないのでわかりませんが、生け簀で元気いっぱいに泳ぐたい焼きの姿を想像してしまったから“天然”はつくづく便利な枕詞です。
自宅に隣接するドラッグストアが閉店したのは12月末。2Lのお茶やボックスティッシュ、トイレットペーパーなど、かさばる系日用品の全般を買っていたお店だけに痛手です。そして来月にはお惣菜が美味しくてすごく重宝していたお気に入りのスーパーも閉店してしまう。クリスマスのチキンも節分の恵方巻きもとても美味しくていつも楽しみにしていたのに。
この閉店ラッシュは本当に寂しい。マンションの契約を更新したばかりだから余計に。
閉店には閉店セールがつきものですが、この「閉店セール」って言葉が醸し出す寂しさと喜びが並び立つ感じは「天気雨」に似ている。見た目で言えば「ロバートデニーロ」の顔面のような「閉店セール」。閉店後の跡地には何ができるのだろう。この寂しさをうまく穴埋めしてくれるといいのに。
この辺ではあまり目にしないけど、うちの田舎では「テナント募集中」の看板が何年も貼られっぱなしの元商店がたくさんあります。髪型と言えばスポーツ刈り一択だった頃、日曜日になると母親に連れられて買い物にでかけた商店街のほとんどの商店は今、空き店舗となり街の空洞化を教えてくれています。あまりのテナント募集ぶりに地元の不動産屋さんの安否が心配です。
2月に閉店を迎えるそのスーパーの二階にはコーヒーショップが併設されていて、そこで280円のコーヒーを飲みながら仕事をするのが好きでした。2011年に起きた東日本大震災もここで経験したくらい。リキュールの瓶が落ちて床に大きな染みをつくり、天井から吊るされた看板は大きく揺れ、ひび割れた壁から土煙があがり、お客さんみんなでテーブルの下に身を潜めた光景はこびりついて離れない頑固な記憶です。
駐車場はすぐに満車となって歩道は人で溢れていた頃の日曜日の商店街、帰り際にたい焼き&今川焼き&焼きそばのフルセットをお土産に買ってもらうのが何より嬉しくて楽しみな瞬間でした。腹も心もパンパンに膨れ上がり帰りの車中でよく嘔吐したものです。もうとうにお店はないけれどあの時、異常なまでに振り切ったテンションはその後、はじめてスーパーファミコンを手にした時と双璧をなすエクスタシー体験として自分史に燦然と語り継がれています。
残念ながらこの商店街のことは記憶には残しているものの記録としての写真は一枚もありません。どんなお店があったのか?本当に賑わっていたのか?記憶のことだからいいように美化しているのかもしれません。冷静に考えるとたい焼き、そんなに好きだったかなぁなんて思う自分もいたりするのが恐ろしい。
寂しいし恐ろしいから閉店となるスーパーを写真に収めておこうと思います。いつか記憶の答え合わせができるように。きちんと懐かしがれるように。ちなみに案外売れているたい焼き屋さんはこの写真の光っているところ。まだ思い出はない。