ゴールデンウィークという言葉の由来は諸説あるそうですが、有力な説としては、1951年(昭和26年)の5月5日に公開された映画『自由学校』がヒットしたことから、盆と正月以外にもより多くの人に映画を見てもらおうと、大映の専務取締役であった松山英夫さんという方が5月の連休を「ゴールデンウィーク」と名付けたようです。
ゴールデンタイム、ゴールデンカレー、楽天ゴールデンイーグルス、ゴールデン洋画劇場、並み居るゴールデン界隈のなかでもゴールデンウィークの威力は絶大、そのフレーズを耳にするだけで心拍数が上がりそうなものですが、残念ながらNHKではゴールデンウィークとは言わず「大型連休」もしくは、「4月末からの(この○○日から始まる)連休で…」など、ケースバイケースで呼んでおられるとのこと。
2025年のゴールデンウィークは、暦通りなら最大4連休、ゴールデンでも大型でもない、名前負けしている感は否めませんが、大事なのは心の持ちようですからゴールデン意識を高めて映画館ではなく故郷へ春を鑑賞しに参りました。
コロナ禍以来に訪れた北信州の春。県外ナンバーの車が後ろ指を指されていたコロナ禍がパラレルワールドだったかのように、今はマスクも消毒も陰性証明書も不要で帰省できます。いつもはスカスカの国道117号線が、春をお目当てに訪れた多くの車やバイクで賑わう光景は、それだけで浮かれ気分にさせてくれます。知らない人にも「いい春ですね、どちらからいらしたのですか?」なんて話しかけたくなります。話しかけませんが。
今年は大雪だったせいで春も遅め、山肌にはまだ多くの雪が見えています。冬枯れの野が新緑に塗り替えられるグラデーションの真っ只中、飯山市が誇る菜の花公園の菜の花たちも満開を迎えておりました。
飯山市の菜の花公園とは?
見わたす限りいちめんが菜の花の鮮やかな黄色で覆われる菜の花公園は、千曲川東岸の小高い丘の中腹に位置しているので、眼下に千曲川、その先に関田山脈を眺望できる絶景スポットとしても人気。いいやま菜の花まつりのメイン会場として会期中はさまざまなイベントが行われる。夏には、菜の花の連作障害をふせぐためにひまわりが植えられ、ひまわり畑に変身。お盆すぎに刈り取られ、来春の肥料としてすき込まれる。
(信州いいやま観光局HPより)
菜の花は、北海道から九州まで日本全国で楽しめる気前の良い花ですが、飯山市の菜の花公園は、菜の花越しに見える景色がお見事。山肌の残雪、うねうね蛇行する千曲川、その堤防を走る車、新緑に映える赤い橋、澄んだ空気に大きな空、この変化に富んだ風景は、飯山市が掲げる「ニッポンのふるさと」に相応しい美しさと懐かしさがあります。
例年5月3日〜5日に開催される菜の花まつりでは、たくさんのお店が出店したり特設ステージでコンサートが催されたりとイベントてんこ盛りですが、駐車場に車が停められない問題が発生しますので、もしイベントよりも純粋に菜の花と景色を楽しみたい方は、イベント開催前の7時〜8時に行かれるのがよろしいです。朝陽を纏う美しい菜の花を愛でれますし、公園前の駐車場も余裕で停めれて快適です。僕が訪ねた5月5日の8時頃はフォトウェディングの撮影が二組も行われていました。絵に描いたような幸せを目の当たりにできるのが、春の菜の花公園の醍醐味です。スキップする子どもを追いかけるパパとママ、「足が悪いから坂は大変だよー」と言いながら元気に歩くおじいちゃんおばちゃん、大学生になった娘に撮影をせがまれる一眼レフを手にしたお父さん、訪れたみんなが満開の菜の花畑を心から楽しんでいる様が伝わってきて、それがまた嬉しくもありました。
アイドル、スポーツ、アニメ、鉄道、ゲームなどなど数多の推し活が人々の心を満たしておりますが、花や四季を楽しむことこそ、日本人が古くから推しに推してきた推し活でありましょう。僕は夏推しですが、この春も大変すばらしく、2日間の滞在でしたが、2日以上の充実した時間を過ごせました。菜の花を植えて育てて管理し続ける方々に感謝です。春をもてなす人とそれを楽しむ人、みんなでつくる春の景色を満喫し、浮かれ気分で後にした今年の菜の花公園でした。