【完売御礼】ずくねぇキャップ

正月なんで久しぶりに家でビール飲んでNetflixを見ながらダラダラしてたらもう11時過ぎ、明日は早いからそろそろ寝ないとなぁ、でも風呂に入るずくがない。

 

この文章に何の違和感も感じない方は長野県人、特に北信地方のご出身であると思われます。

 

地元の野沢温泉で暮らしていた頃は言わない日はなかった「ずく」。直訳すると「やる気」みたいなものです。つまり「ずくがない」とは「やる気がない」と言う意味。でも「やる気がない」ほどあからさまな意思はなく、「ちょっとめんどう」くらいの軽さとルーズさと可愛げを含んでおり、標準語で例えると「かったりぃーなー」が最も近い気がします。だから「生きるずくがない」などの切羽詰まったケースでは使いません。

 

この「ずく」が方言だと気づいたのは高校生になってから、軽く眩暈がしました。思春期の脳みそに「ずく」はダサいものと位置づけられてしまい、使用頻度は減少の一途。さらに大学入学を機に埼玉に越してからは封印、誰にも通じない方言をあえて使うほど明るい大学生になれません。以来「ずくがない」は帰省時のみ、埼玉では「かったりーなー」を使うバイリンガルになりました。

 

あれから30年近くがたち、方言のイメージもガラリと変わりました。ダウンタウンが東京進出し、関西弁をメジャーデビューさせたのを皮切りに、博多華丸・大吉が博多弁を、千鳥が岡山弁を、そしてU字工事が栃木なまりで漫才をするなど、方言はアイデンティティとして、その人が持つ味わいに成り上がました。女優やアイドルや安田美沙子が方言を使えば可愛いと、もてはやされる、今や方言をダサいと考えることの方がダサいのです。

 

時代は令和となり、僕もおじさんになり、方言を積極的に使うブームがきました。先人たちが長い月日をかけて育んでこられた方言を後世に残さなければならない。そうして生まれたのが、この「ずくねぇ」キャップです。方言を使うだけではなく、積極的に被っていこうということです。

長野県には人気のローカル番組「ずくだせテレビ」(SBC信越放送)がありますが、やはり「ずく」は出すよりも無い方がより魅力的に映ります。舌打ち混じりに「ずくねぇ」と言いながらついつい頑張ってしまう生真面目さこそ、長野県人の真骨頂ではないでしょうか。

 

この「ずくねぇ」キャップ、長野県は野沢温泉スキー場の日影ゲレンデで販売させていただきましたが、昨年完売いたしました。ありがとうございました。しかしながら「ずくねぇ」Tシャツはまだ在庫がございますので、ぜひ方言好きの方はお買いもとめいただけますと幸いです。

 

投稿者 片塩 宏朗

お読み頂きありがとうございました。コピーライターをしています。好きなランニングと短歌について時々書きます。フルマラソン:3時間15分28秒、ハーフマラソン:1時間27分59秒、シューズはasicsです。

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