2018年4月23日(月)
母からふきのとうを送ってもらいました。実家のまわりで採れたものです。ふき味噌にして食べたら最高に旨いやつです。
四月も終わりになろうかと言うのにまだまだ引越しのトラックを目にします。上京する人のうち夢をお持ちの人の割合はどんなもんでしょうか、気になります、半分くらいですか。ぼくは夢がないまま上京してしまったタイプです。なんとなく埼玉の大学に行かせてもらい、なんとなく東京で仕事を見つけてしまい、なんの信念も思惑もなくダメージの軽そうな決断をし続けていたら東京にいました。
夢をお持ちなら夢をあきらめたタイミングで田舎に戻れますが、はなから夢のない人は戻る理由も機会も自力では見つけにくいのが現状です。惰性で買ってしまったTシャツほど長持ちするように居座ることになります。東京に憧れた人が東京を去り、そうでない人が残る。皮肉なものです。
「東京は冷たい」なんて定型句のように言われますが、東京が冷たいのなら田舎も充分に冷たいです。それに東京人の多くは、地元のお祭や消防団から逃れてきた地方の人ではありませんか?ぼくはそうなんですが。東京には親切な人もそうでない人もたくさんいます。それは田舎も同じで、田舎の人は暖かいなんて幻想はテレビ東京の『田舎に泊まろう!』で打ち砕かれたはずです。“東京は冷たい”と“田舎は暖かい”はちょうど同じくらいの誤解です。
地方から上京した際に驚かされることがたくさんあると思います。ファミレスにポルシェが停まり、パンケーキに1,400円払い、夜でもサングラスの人が多いのは、それは東京だからなんです。ぼくが上京して最初にやらなければならなかったことは、「ここは東京なんだぞ」と自覚することでした。それをすることで大抵の違和感は払拭されたものです。
故郷、奥信濃の春はまだまだ風がひんやり冷たくて朝晩はこたつが欠かせませんが、日中の陽射しは暖かくようやく桜が咲く頃合いです。新芽が萌えはじめた丘を歩く父と母の手で摘まれたふきのとう、信じられないかもしれませんが、ここは東京です。あなたがたの息子が暮らしています。