2018年5月19日(土)
「弁護士が来るまで話さない」
逮捕された被疑者がそう話しているとアナウンサーが伝えています。このフレーズを耳にする機会が増えた気がしています。
自白の強要や冤罪を防ぐため、被疑者が自らを守る権利として黙秘権ってものがあるのはわかるのですが、「弁護士が来るまで話さない」の「とりあえずビール」化は聞くたびに違和感を抱きます。とりあえず「ごめんなさい」でしょう、「弁護士が来るまで話さない」はそれからでも遅くない。
風変わりな言動をしてください、そうしたら精神鑑定に持ち込めるかもしれません、あわよくば罪に問われないケースもありますよ。そんな素人まがいの入れ知恵を賢い弁護士の先生は本当にしているのですか。
この「弁護士が来るまで話さない」は弁護士の先生には相当のイメージダウンだと思うのです。弁護士は悪い人の味方かのような印象を与えかねません。そしてそれが風評被害ではなくて実際に悪い人なんじゃないの?と思わせる力が弁護士という職業にはあるので不思議です。 先生なんて呼ばれる職業にろくなものがないということです。先生はその人に対して呼ばれるもので職業に対してではないはずです。
ワイドショーは日々、新鮮な情報を供給してくださいますが、逮捕された被疑者に対する近所の人や同級生のコメントはもういらないですかね。 誰が犯人でもおおよそセリフは同じです。
「会えばあいさつしてくれた」
「おだやかそうに見えた」
「おかあさん思い」
「そんなことする人には見えない」
「勤務態度はまじめ」
日本人のほとんどの人がこれに当てはまるから厄介です。 これらのコメントは“日本人の誰もが凶悪犯罪を犯す可能性がありますよ”という警鐘をガンガン鳴らしてしまうことになります。 我々は悪そうに見える人はもちろん、良い人そうに見える人にも警戒しなければならない、ハードな人付き合いが求められます。
いい人で居続けるのが難しい時代になりました。人と親密になるにはじぶんの秘密をさらけだすこと、そんな風に教えられた世代ですが、さらけ出した本音が場合によっては袋叩きに会う可能性も秘めています。空前の秘密ブームが訪れて弁護士の先生が益々活躍する時代がもうすぐそこです。