綿菓子の星

2018年6月17日(日)

 

雨と雲ばかり姿を見せる梅雨らしい空です。

 

 

「この青さはこの星でしか見れません!またリピします!」

 

 

そんな口コミを頼りに訪れた観光客には少し物足りない景色でした。

 


 

写真と全然違うね。

 

仕方ないよ青の星にも色々あるから。

 

そうだね、これはこれで楽しむとしよう。

 

あのふわふわの白いの食べれそうじゃない?

 

もう少し近づけるかな。

 

やめておきなよ、着替え持ってきてないし。

 

「運がいいと生物たちの激しい縄張り争いを見ることができます」

 

これ見れると思う?

 

どうだろう、それなりの周期があるらしいよ。

 

詳しいんだね、この星のこと。

 

おじさんが、わたしが生まれるずーーっと前にこの星で青白光を食べたって自慢してたから。

 

おじさんって?

 

あの銀ぶち眼鏡の。

 

見かけによらないね。

 

若い頃は魂そっちのけで旅してたみたい。

 

あんまり近づくとバレるかな?

 

平気よここの生物は想像力が退化しているの。

 

どうして?

 

現実しか見ないからよ。

 

じゃあぼくらのことも?

 

もちろん見えていない、ときどき見える個体が現れるけど…

 

けど?

 

そんな個体は変わり者としてはじかれる。

 

殺されるの?

 

殺されない、でも透明になる。

 

ねえ、この白いの少し甘い。

 

そのかわり、目だけはいいの、見えているものがすべてだから。

 

不思議だね〜見えないものが見えないくせに。

 

ほら見て、

 

何?

 

個体同士で触手を絡ませている。

 

気持ち悪!

 

見えないものを信じられないから、そうなるの。

 

習性なの?

 

まだこの星が雨を知らないころの名残かもしれないね。

 

どういう意味?

 

わからない、おじさんが言ってた。

 

それにしても水の匂いが強烈だ。

 

すぐ慣れるわ。

 

ねえ、やっぱりこの白いの少し甘い。

 

 

 

投稿者 片塩 宏朗

お読み頂きありがとうございました。コピーライターをしています。好きなランニングと短歌について時々書きます。フルマラソン:3時間15分28秒、ハーフマラソン:1時間27分59秒、シューズはasicsです。

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