2017年5月26日(金)
表にしたり裏にしたり、皺を伸ばしたり、何度入れても券売機から戻される千円札。
大学時代は埼玉県で暮らしていたので、身近な東京─池袋に行くにも500円(当時)必要でした。だから切符を買う時はお札の登場回数が多くなり吐き戻されることもしばしば。
池袋から自宅がある最寄り駅までは急行でも約40分かかりました。鞄には財布とSONYのCDウォークマンとIDOの黒くてゴツゴツした携帯電話とタバコとZIPPOライターが入っています。漢字表記もメール機能もない電話もかかってこない、当時としては比較的早く持ち始めた携帯電話は、ただ“かっこいいから”持ち歩いていました。今は吸っていないタバコもあの頃はセーラムライトやマルボロメンソールなど銘柄を転々と変えながら2日に一箱ほど吸っていて、CDは中古CDショップで買ったミスチルの「深海」を良く聞いていた、あの頃です。
お金がないことが当たり前だったので、ちゃんとしたお店でご飯を食べたり、買い物をして帰ることはほとんど無くて買うものと言えば本一冊かCD一枚、古着のTシャツくらい。それすらも稀で大半はただ池袋に行って帰ってくる、何をするでもない一日を過ごしていました。友達と行ったり彼女と行ったり、それが新鮮で楽しくてワクワクしてオールOKだった、あの頃です。
懐かしい。まだSuicaのない時代。今はもう鞄は持たないポケットにスマホひとつを入れるだけ。そして池袋にも行かない。
ちなみに券売機からお札が戻される原因は、皺でも折り目でもなく付着した手の脂汚れや水分による変形が原因のようです。だから皺を伸ばすことに何の効果もなく、改善策は”乾拭きする”とのことでした。
あの当時は知る由もありません。お金もインターネットも無い時代、二度と見れない車窓に映っていたものたち。