2022年7月17日(日)

号砲がドカンと一発鳴るかのごとく、華々しく幕開けるところが夏の夏らしさたるゆえんでしたが、今年の夏はまだ夏らしさを出せていないと思います。梅雨は明けどきを間違えるし、セミは鳴きどころを見失うし、入道雲は姿を見せないし、これは正式な夏ではない、ただ暑いです。

 

日本は温帯湿潤気候です。で正解をもらえていた世代としては、最近の夏は無闇に暑いし、雨は激しすぎます、霧雨とか驟雨とか五月雨とか、雨のネーミングセンス抜群の日本人も手に負えないほど。ゲリラ豪雨なんてセンスも情緒もなさすぎ、浴びるならやっぱり夕立です。

 

午前中から35℃に迫る勢いの人もまばらな公園でランニングをしていると、その暑さに似合わないおじいさんがひとり歩きをしていました。薄々の白い肌着は汗で透け、顔を覆うマスク越しにもその苦しさが伝わってきます。毎日している散歩を止められないのは痛いほどわかりますが、どう見てもすごく危ない雰囲気です。ただその危うさにも増して目を惹いたのは、おじいさんが日傘をさしていたことでした。

 

雨傘も日傘も身を守るためにする点では同じものですが、日傘の方がオシャレでヘルシーなイメージがあるのは、やはり晴れた日に使うものだからでしょうか。日傘から感じるのはいつだってポジティブ、その紺色の渋い日傘は、危ういおじさんを危うくて素敵なおじいさんにしていました。

 

このご時世、男だって日傘はあり。大先輩の背中から教えていただいた気がします。夏の夏らしいも変われば、男の男らしいも変わる。日傘を持つ細くて真っ白なおじいさんの腕からあたらしい夏のはじまりを感じました。いつまでもお元気で。