クイーンズ駅伝2024【順位予想篇】

プリンセス駅伝を勝ち抜いた16チームに、前年度のクイーンズ駅伝でシード権を獲得した8チームを加えた計24チームで駅伝女王の座を争うクイーンズ駅伝2024が11月24日(日)に宮城県で開催されます。

 

有力選手の移籍が相次ぎ目まぐるしく変わる各チームの戦力。かつて駅伝女王に輝いた名門チームが予選会で敗退する一方で、創部まもない新興チームが本戦への切符を手にする。新たなステージに入った実業団女子駅伝、優勝争いは混迷を極める…かと思いきや直近5年の駅伝女王を見てもわかるように、ここ数年は積水化学、JP日本郵政、資生堂で優勝を分け合う三強時代となっております。

 

・2023年 積水化学      2:13:33

・2022年 資生堂          2:12:28 ※大会記録(GR)

・2021年 積水化学       2:13:03

・2020年 JP日本郵政   2:13:34

・2019年 JP日本郵政   2:15:10

 

今年の優勝争いもチーム力が頭2つ3つ抜きに出ている、この3チームが演じることになりそうです。昨年と比べても戦力のマイナス要因はなく、レースコンディションが良ければ大会記録も狙えるハイレベルな戦いが期待できます。特に昨年の覇者積水化学は、野球で言う「他のチームに行ったら四番バッターだよ」という選手が脇を固めるチーム。強くて層が厚い、スタート前から三歩リードしている状況です。

 

ただ、2024年のプロ野球日本シリーズでは戦力で圧倒する福岡ソフトバンクホークスがセ・リーグ3位の横浜DeNAベイスターズに敗れたように、机上の計算通りにいかないのがスポーツの醍醐味。積水化学を止めるのはJP日本郵政か資生堂か、プリンセス駅伝優勝チームのユニクロか、それとも…?

 

先月開催されたプリンセス駅伝2024の順位予想をすべてハズした分析力で、クイーンズ駅伝2024の順位と区間エントリーを予想します。

1位 積水化学

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝優勝

🗒️予想区間オーダー
木村友香ー山本有真ー佐藤早也伽ー森智香子ー新谷仁美ー楠莉奈

 

実業団女子駅伝チーム史上最強、見据えるのは大会記録2:12:28(資生堂/2022)更新での連覇。誰にどの区間を任せても走れる強さと層の厚さ。軍を抜くピーキング力で確実にあわせてくる佐藤さんと新谷さんは例年通りの3区、5区。2区にエースクラスを配置できるのが積水化学の恐ろしさ、昨年区間賞の山本さんで固く行きたい。唯一苦戦が予想されるのがインターナショナル区間の4区、JP日本郵政が外国人ランナーを起用するだけにここでのロスは最小限に留めたい。昨年は佐々木梨七さんが好走したが、今年は、1,500でPBを出すなど進化をやめない森智香子さんか、あるいは本来であればエース区間を走るべき実力者の田浦さんか、今回は距離適性を考えて森さんと予想。1区はぐいぐい押せる木村さん、そしてアンカーは昨年、大会直前の怪我で走れなかった楠さんがその悔しさを晴らす。TWOLAPS所属の高いプロ意識を持つアスリートを擁する積水化学、その自己管理能力の高さも強さの要因。11月24日時点でベストの6人が走れば優勝、敵はプレッシャーが引き金となるアクシデントのみ。

 

2位 資生堂

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝4位

🗒️予想区間オーダー
一山麻緒ー井手彩乃ー五島莉乃ー大谷菜南子ー高島由香ー風間歩佳

 

大砲を揃える資生堂。その3人のオリンピアンをどこで起用するかが見どころ。今年の10,000m日本チャンピオン五島さんは満を持して3区へ。今季も変わらぬ強さを見せるピークを知らない高島さんは昨年区間賞の5区。そして昨年はMGCの影響もあり3区でブレーキとなった一山さんは、ワコール時代に区間賞も獲得している1区でリベンジ。今季絶好調井手さんのスピードは2区でこそ活かしたいが、ジェプングティチ ジュディさんがまさかのエントリー外で6区もありえる。4区で1分以上を失う可能性もあり、高島さんが突っ込みすぎる恐れも。調子上向きの大谷さん、風間さんの奮起にかかる。前半区間は積水化学と互角に戦える資生堂。優勝には五島さんの圧倒的区間記録が不可欠だが、それでも今年は一歩足りないか。

 

3位 JP日本郵政グループ

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝2位

🗒️予想区間オーダー
廣中璃梨佳ー和田有菜ー菅田雅香ーカリバ カロラインー鈴木亜由子ー大西ひかり

 

主力の多くがトラックレースに出場していない為、その状態は未知数。故障明けの廣中さんは夏過ぎからどこまで戻せたのか。今回は8割のコンディションと踏んで3区ではなく1区でスピードを活かしたい。3区は日本選手権10,000m5位、5,000m7位の今季好調キャプテン菅田さんが適任。マラソンに専念する鈴木さんの状態も気になるがそこはベテラン、慣れ親しんだ5区でユニクロ、パナソニックとの差を広げる。日本郵政最大の補強ポイントはチーム初の外国人ランナー、カリバ カロラインさんの入部。4区で計算できるのは大きい。2区と6区は実績のある太田さん和田さんか、それとも今季走れている大西さん牛さんか。今年は主力の調子が万全ではないにせよ、もともと力のある選手ばかり、菅田さんが上位でレースを運べることになれば今年もトップ3でフィニッシュできる。

 

4位 エディオン

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝9位

🗒️予想区間オーダー
水本佳菜ー名和夏乃子ー矢田みくにー溝上加菜ー細田あいー中島紗弥

 

ベルリンマラソン明けでプリンセス駅伝を回避した細田さんが戻って来る。今年は5区、今の細田さんの力を持ってすれば区間賞もある。そして3区はキャプテン矢田さん、区間賞を獲得したプリンセス駅伝よりもう一段ギアをあげた走りを期待したい。2区はプリンセス駅伝3位の立役者の一人ルーキー名和さん、持ち前の粘り強さを発揮して矢田さんにいい流れで繋げるか。故障明けにも関わらずプリンセス駅伝では好走した水本さんは今回も得意の1区で勝負、その力を全国に披露するチャンス。4区は溝上さんのスピードに賭けたいが、いつも通りなら工藤さんか。成長した両エースが万全のエディオン、繋ぎの区間で流れに乗れば一気に上位進出もありうる爆発力を秘めている、二年ぶりのクイーンズエイト入りへ視界良好。

 

5位 パナソニック

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝3位

🗒️予想区間オーダー
信櫻空ー保坂晴子ー渡邊菜々美ージャネット・ニーヴァー中村優希ー森田香織

 

昨年、三強の一角を崩したパナソニック。そのパナソニックの駅伝を長年支えた内藤さん、堀さんが引退。昨年も2区区間2位、あらゆる区間を走れた内藤さんの穴は大きいが、期待のルーキー日体大の保坂さんで2区を埋める。3区は渡邊さん、駅伝に滅法強いエースはどんな時でも区間5番以内で襷を繋ぐ、パナソニックの心臓、止まることはない。4区ジャネット・ニーヴァさんがダイハツ、第一生命から30秒~50秒奪えるのは大きい、1秒でも多く貯金を作って5区中村さんに渡したい。年々距離も力も伸ばしている信櫻さんは今年も1区、昨年は区間6位の好走が総合3位に繋がった。近年入れ替わりの激しい実業団チームのなかでも移籍の少ないパナソニック。その強い絆とメンバーが実力通りの力で襷を繋げば、最低でもクイーンズエイトは守れる。

 

6位 ユニクロ

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝11位

🗒️予想区間オーダー
川口桃佳ー後藤夢ー吉川侑美ーオマレ ドルフィンニャボケー平井見季ー柳谷日菜

 

プリンセス駅伝優勝チームが三強に挑む、注目のユニクロ。プリンセス駅伝を回避した柳谷さんが間に合えば6区に。ただプリンセス駅伝でアンカーを務めた加藤さんも好調をキープ。状態次第ではぶっつけ本番で5区柳谷案もなくはない。クイーンズエイトクラスは5区、6区が強い、前半区間で1秒でも多く稼いでおきたいところ。ユニクロ浮上のポイントは1区の川口さんの走りに尽きる。後ろに控えるユニクロのツインターボ(例えダサい)後藤さん吉川さんに前方で繋げれば4区終了時点で2位もある。前年のプリンセス駅伝優勝チーム岩谷産業はクイーンズ駅伝8位。上位の壁は厚いがユニクロ、目標のトップ3に向けて1区川口さん爆発なるか、5区平井さん覚醒なるか。逆にこの2区間でミスればクイーンズエイト入りに黄色信号が灯る。

 

7位 ダイハツ

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝5位

🗒️予想区間オーダー
大森菜月ー西出優月ー加世田梨花ー武田千捺ー松田瑞生ー竹本香奈子

 

3年連続5位、安定感抜群のダイハツ。主力メンバーの顔ぶれは変わらないが、それだけに持ち場も役割も明確。そして例年クイーンズ駅伝にしっかり合わせてくるのも強み。1区を任せられる大森さんの存在がチームに安定をもたらした。3区加世田さん、5区松田さんの世界を知る二人が他チームのエースと存分に戦える。今年は2区の西出さんに期待、昨年4区日本人1位のスピードを再現できれば序盤からシード圏内でレースを運べる。4区は同区経験豊富な武田さん。そして最後の一枠は前田さん、竹本さんで争う。どちらもロードに強い選手、状態の良さで選ぶ以上はどちらが出場してもしっかりアンカー区間をまとめられるはず。大きな穴がないダイハツ今年もそつなくシード権獲得。

 

8位 第一生命グループ

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝6位

🗒️予想区間オーダー
飛田凜香ー出水田眞紀ー小海遥ー松本奈々ー鈴木優花ー櫻川響晶

 

パリ五輪日本代表の小海さんと鈴木さんを中心に戦う第一生命。昨年は1区2位でチームに流れを引き寄せた小海さんは今年も好調、3区でライバルチームのエースと勝負。パリ五輪マラソン6位の鈴木さんも順調、後半のエース区間の5区に起用。ここ数年は駅伝レギュラーで昨年6区区間3位の古川さんの退部はマイナスポイントだが、スピードが戻り復調傾向の出水田さんで2区を繋ぐ。ミスのできない1区は立命館大学時代に1区区間賞の経験もある飛田さんを抜擢したい。4区は実業団駅伝デビューの松本さん。5区鈴木さんが前を行く三井住友海上に並び、アンカー櫻川さんでラスト競り勝てるか。クイーンズエイト最後の一枠は第一生命と予想。

 

9位 三井住友海上

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝9位

🗒️予想区間オーダー
樺沢和佳奈ー西山未奈美ー兼友良夏ーカマウ タビタジェリー松田杏奈ー清水萌

 

プリンセス駅伝では故障明けで6区にまわった樺沢さんが定位置の1区で区間賞を狙う。そのプリンセス駅伝で失速した兼友さんは本戦で力通りの走りができるか。2区、5区、6区はオールラウンドに走れる松田さん清水さん、そして故障によりプリンセス駅伝を回避した西山さんの3人の状態を見て起用、なかでも好調を維持する松田さんを5区に。復調段階にある小林さんは見送りと予想、来年に期待。1ヶ月前のプリンセス駅伝ではチーム状態が万全ではない中でも2位、兼友さん、カマウさんがトラックシーズンに比べ調子が落ち気味に見受けられるが果たして…。例年冬よりも夏の方がチーム状態が良いイメージがある三井住友海上、この1ヶ月でそのイメージを払拭する仕上がりとなっているのか、すべては3区兼友さんの復調でクイーンズエイト入りは決まる。

 

10位 しまむら

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝18位

🗒️予想区間オーダー
山田桃愛ー髙橋優菜ー安藤友香ー河辺友依ー山ノ内みなみー鈴木杏奈

 

プリンセス駅伝7位。今年のメンバーの充実ぶりを考えたらもう少し上位でもおかしくなかった。クイーンズ駅伝に向けてメンバーの変更はないが、チームの中でも絶好調の山田さんを主要区間で起用したい。そして同じく状態が上向きの山ノ内さんを5区に。3区の安藤さんがヒタヒタと上位チームに忍び寄れたら10位圏内もあるしまむら。

 

11位 シスメックス

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝不出場

🗒️予想区間オーダー
田﨑優理ー瀬川帆夏ー石井寿美ー黒田愛梨ー尾崎光ー酒井想

 

プリンセス駅伝では会心の駅伝を披露したシスメックス。いい流れを崩したくはないが、東日本女子駅伝でも好走した石井さんの最近の充実ぶりを見ると3区に起用したくなる。プリンセス駅伝でチームを波に乗せた2区瀬川さんの走りがクイーンズ駅伝の舞台でも再現できれば面白い。そして5区尾崎さん、同期の黒田さんからの襷リレーを発射台に本戦でも全力を出しきれるか。

 

12位 岩谷産業

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝8位

🗒️予想区間オーダー
安井絵理奈ー西尾咲良ー川村楓ー八木美羽ー中野円花ー前田梨乃

 

昨年創部6年目で初のクイーンズエイト入りを果たした岩谷産業。近年チーム全体の底上げが著しい。なかでも絶対的なエースに成長した川村さんは今年の日本選手権10,000m6位。コンスタントにレースに出場し結果を出し続けるタフさも魅力、狙うはエース区間で区間3位以内。今季5,000mで揃ってPBを出した前田さん、西尾さん、八木さんの3名もメンバー入りへ。そこにベテラン中野さん、安井さんを加えた6名で勝負。昨年55位と好走した中野さんが今年も元気ならシード権争いに挑戦できる。昨年6区を走った若井莉央さんの引退(その後9月にワコールで復帰、プリンセス駅伝で3区区間4位)も痛いところだが、それを忘れてしまえるくらいの結果を期待したい。

 

13位 天満屋

🏆️昨年成績
2023年クイーンズ駅伝7位

🗒️予想区間オーダー
西村美月ー山口綾ー立迫志穂ー渡邉 桃子ー吉薗栞ー松下菜摘

 

昨年7位の立役者でもある17位谷本観月さんと6区間賞大東優奈さんの引退は大きな戦力ダウン。そこにきてパリ五輪を疲労骨折で欠場した前田穂南さんもまだ復帰は時期尚早、今年はじっと我慢の時。新生天満屋に向けて吉薗さん、立迫さん、西村さんの若手有望株三人で主要区間を走りチームを引っ張る。2区は秋に入り3,000mPBを連発するルーキー山口さん、4区は渡邉さんか。6区はベテラン松下さんに来年へ繋がる走りを期待したい。チームの顔でもあった小原玲さんも引退し転換期に差し掛かる天満屋、今は種を蒔き根を張る時、花が咲くのは来年以降に。

 

上位9チームは大混戦、特に5位~9位は当日の調子が大きく左右するほど力が拮抗しています。逆にこの9チームにしまむら、シスメックス、岩谷産業、大塚製薬が食い込むようなことがあれば、実業団女子駅伝はさらに盛り上がってくれるはずです。

 

昨年から中継所が変更になり1区が7.6km→7.0km、2区が3.3km→4.2km、3区が10.9km→10.6kmにそれぞれ距離も変更。なかでも繋ぎの区間と呼ばれる2区が約1km伸びた影響は少なくないはず。3,000mを主戦場にする中距離ランナーから5,000mが得意な選手の適正区間となった2区。クイーンズ駅伝では5区6区に強い選手が控えている為、終盤での大逆転は難しい、クイーンズエイト入りには1〜2区で上位につけることが必須条件。追加された2区の900mが後の順位を左右する可能性も少なくないはず、各チームの2区のランナーに注目です。

 

予想に挙げきれていないチームの中から注目すべきランナーは、スターツの伊澤菜々花さん、大塚製薬の小林香菜さん、肥後銀行の南雲栞理さんの3名、クイーンズ駅伝の舞台でどんな走りを見せてくれるのか楽しみです。

 

すべての答え合わせは11月24日(日)11時50分からテレビの前で、TBS系列で。

投稿者 片塩 宏朗

お読み頂きありがとうございました。コピーライターをしています。好きなランニングと短歌について時々書きます。フルマラソン:3時間15分28秒、ハーフマラソン:1時間27分59秒、シューズはasicsです。

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