移籍ルールが緩和され地元で競技を続ける選手が続出し、勢力図が目まぐるしく変わる実業団女子駅伝。多くのチームにクイーンズ駅伝出場のチャンスがあるかと思えば、かつてはクイーンズエイトの常連でもあったヤマダホールディングスが「複数選手のコンディション不良」という名のメンバー不足により今大会を棄権する事態に。業界総シャッフル、一寸先はハプニング、何が起こるかわからないから面白い今年で10回目を迎えるプリンセス駅伝の順位予想を四年ぶりに開催いたします。
全30チームの中から11月24日、駅伝女王を決めるクイーンズ駅伝2024への切符を掴む16チームはこちらです。
1位 三井住友海上 |
樺沢和佳奈ー清水萌ー兼友良夏ーカマウ タビタジェリー松田杏奈ー西山未奈美 昨年成績
2023年プリンセス駅伝8位
2023年クイーンズ駅伝9位
片貝洋美さんが現役引退した三井住友海上だが、京セラから兼友良夏さんが移籍。一足早く移籍済みの松田さんと共に元京セラコンビがチームにもたらす影響は大きい。昨年1区区間賞の樺沢さんは今年も区間賞候補。全区間走れるメンバーが揃い、穴らしい穴が見当たらない優勝候補筆頭の三井住友海上。
2位 ユニクロ |
川口桃佳ー後藤夢ー吉川侑美ーオマレ ドルフィンニャボケー平井見季ー柳谷日菜 昨年成績
2023年プリンセス駅伝9位
2023年クイーンズ駅伝11位
昨年までの駅伝メンバーが3人退部し、チームが一新され更にビジュアル重視に変貌したユニクロ。柳谷日菜さんがワコールから移籍して戦力に厚みをもたらす。中距離からマラソンまで距離に応じて強さを見せるランナーが揃い、各々の役割を果たせば優勝もある。エースの吉川さんを3区に配置できるのか?3区終わりでトップに立ちたい。優勝への鍵は6区に落ちている。
3位 しまむら |
山田桃愛ー河辺友依ー安藤友香ー山ノ内みなみー髙橋優菜ー鈴木杏奈 昨年成績
2023年プリンセス駅伝16位
2023年クイーンズ駅伝18位
3年前のプリンセス駅伝を出走したメンバーが誰もいない、こちらも近年入れ替わりが激しいしまむら。今季はワコールから安藤友香さんが移籍し、大補強にも成功。絶好調の高橋さんをどこで起用すべきか悩ましい。調子を上げているメンバーが多くオーダー予想は難しい。誰にどの区間を任せても走れてしまうだけの強さが今年のしまむらにはある。6区で実現するユニクロとのアパレル対決が見もの。
4位 大塚製薬 |
福良郁美ー津熊彩ー棚池穂乃香ー真也加J有里ー小林香菜ー川内理江 昨年成績
2023年プリンセス駅伝3位
2023年クイーンズ駅伝14位
今季好調の棚池穂乃香さんとルーキーの小林香菜さんを軸に勝負。昨年までエース区間を担当していた西谷沙綾さんの状態が気になるところだが今回は出走見送りと予想。マラソンに特化する川内さんをどこに配置するのか?スタートで出遅れる可能性も考慮し後半型のオーダーを組むとすれば6区か。1〜2区がうまくいけばトップ3も見えてくる。
5位 ルートインホテルズ |
大西夏帆ー三原梓ー堀尾和帆ーカムル パウリン カベケー藤田正由加ー保科琴音 昨年成績
2023年プリンセス駅伝2位
2023年クイーンズ駅伝12位
昨年のプリンセス駅伝準優勝、もはや予選会は通過点に過ぎないチームとなったルートイン。絶対的なエースがいない分、チーム全体で襷を繋げるのが強み。日髙侑紀さんがキャノンに移籍したが、今季PBを更新した選手も多く、期待できるチームに仕上がる。1区大西さんで勢いをもたらし昨年に引き続き入賞圏内で勝負する。
6位 日立 |
小井戸涼ー鈴木樺連ー花野桃子ー佐々木瑠衣ー鈴木千晴ー田村紀薫 昨年成績
2023年プリンセス駅伝6位
2023年クイーンズ駅伝19位
田村、鈴木両ベテランの力でどこまで押し上げられるか。田村さんは今年に入りPBも更新で好調を維持、凄すぎる。3区は昨年好走の花野さんに。例年1区が鬼門だが、多少の出遅れもへっちゃらの追い上げ型オーダーで入賞圏内へ滑り込む。元城西大のエースだった福嶋さんがエントリー外なのは不穏。
7位 東京メトロ |
小笠原朱里ー村上愛華ー上杉真穂ー金井美凪海ー森田歩実ー佐藤奈々 昨年成績
2023年プリンセス駅伝24位
2023年クイーンズ駅伝不出場
スターツから佐藤奈々さん、上杉真穂さん、デンソーから小笠原朱里さん、そしてセンコーから森田歩実さんが加入。主要区間を走れるメンバーが揃い戦えるチームに変貌。2区、4区をうまく繋げばクイーンズ駅伝初出場どころか入賞が見えてくる。今大会は東京メトロが躍進すると予想。
8位 ユニバーサルエンターテインメント |
橋本奈津ー小代﨑陽向子ー鷲見梓沙ーカリウキ ナオミ ムッソーニー北川星瑠ー和久夢来 昨年成績
2023年プリンセス駅伝14位
2023年クイーンズ駅伝15位
課題は3区と5区。好調のエース鷲見さんを3区に配置し新しいユニーバサルを見たい。5区はルーキー北川さんかエディオン時代に経験のある山本明日香さんか。1区は大学時代に得意としていた橋本奈津さんを起用。ナオミ ムッソーニさんも駅伝復帰し、ミスがなければ上位に食い込める力があるユニバーサルAC。
9位 ニトリ |
鈴木葵ー鈴木天華ー古川璃音ーエスタ ムソニー杉浦穂乃加ー炭谷綺乃 昨年成績
2023年プリンセス駅伝10位
2023年クイーンズ駅伝21位
昨年のオーダーから6区のみ変更。上位チームに比べ地力はやや劣るが、古川、ムソ二、杉浦の3本柱で今年もトップ10内へ。成長過程のメンバーが多く、本番で化ける可能性もある楽しみなチーム。上位を脅かす台風の目となれるか。古川さんは区間一桁順位で走りたい。
10位 エディオン |
水本佳菜ー溝上加菜ー矢田みくにー名和夏乃子ー中島紗弥ー平岡美帆 昨年成績
2023年シードで出場なし(22年クイーンズ駅伝4位)
2023年クイーンズ駅伝10位
長年エディオンの駅伝を支えた江口美咲さん、市田美咲さんが退部。この二人の穴を埋められるか。9月29日のベルリンマラソンを2:20:31の好タイムで終えたエース細田あいさんは当然ながらお休み。前半は状態のいいメンバーが揃うだけに課題は後半。長野東のルーキー名和夏乃子さんが4区を走れるだけの状態かどうか。前半の貯金をどこまで守れるか。
11位 豊田自動織機 |
逸見亜優ー吉田莉帆ー籔下明音ーヘレン エカラレー坂川恋露ー下森美咲 昨年成績
2023年シードで出場なし(22年クイーンズ駅伝6位)
2023年クイーンズ駅伝25位
昨年のクイーンズ駅伝最下位からチーム再建中の豊田自動織機。スピードのある選手が加入し、チームとしての伸びしろは十分。懸念の5区は鹿児島銀行から移籍の坂川さんか。薮下、エカラレさんは間違いないだけに1区、6区が決まれば一気に上位進出もありうる。下位に沈むチームではない。
12位 シスメックス |
尾崎光ー西原加純ー田﨑優理ー瀬川帆夏ー石井寿美ー酒井想 昨年成績
2023年プリンセス駅伝18位
2023年クイーンズ駅伝不出場
1区が難しい。例年1区を務める田崎さんを満を持して3区に、昨年3区の石井さんはコツコツとペースを刻める5区向き。1区は高校時代に経験がある尾崎さんに託したい。2区は西原さん、黒田さん、柴田さんから状態のよい選手を起用したいが、実績を考慮し西原さんか。瀬川さんも今季好調、シスメックスは2年ぶりにクイーンズ駅伝へ。
13位 肥後銀行 |
堤好伽ー西川歩夏ー南雲栞理ーチェロティッチ ダイアナー大塚英梨子ー塚本真夕 昨年成績
2023年プリンセス駅伝DNF
2023年クイーンズ駅伝不出場
昨年1区アクシデントで途中棄権となった肥後銀行。それでも3区区間賞で意地を見せた酒井美玖さんはコンディション不良で出走せずと予想。それでも南雲さん大塚さんがエース区間で勝負できる。それを繋ぐ4区のチェロティッチ ダイアナさんの存在も大きい。堤さんの勢いを生む走りに期待。肥後銀行が二年ぶりにクイーンズ駅伝の舞台へ。
14位 スターツ |
對馬千紘ー佐藤鳳羽ー伊澤菜々花ーワングイエスターワンブイー西川真由ー大沼亜衣 昨年成績
2023年プリンセス駅伝10位
2023年クイーンズ駅伝21位
佐藤さん、上杉さんの退部は大き過ぎるが、伊澤さんが加入し穴はひとつ埋まる。ワンブイ、西川さんと共に16位圏内を確保できるか。1区對馬さんのスピードに期待、アンカー大沼さんで守りきりたい。
15位 センコー |
鳴瀧ほのかー杉山明沙ー下田平渚ー丹羽琴音ー竹山楓菜ー朝比奈亜妃乃 昨年成績
2023年プリンセス駅伝13位
2023年クイーンズ駅伝20位
今やトップクラスのタイムを持つ下田平渚さんは3区、区間賞レベルの走りをすればセンコーの二年連続本戦出場が近づく。ポイントは1区。新戦力は高卒ルーキー一人のみと層の薄さは否めない。5区竹山さんで踏ん張らなければ16位圏内が危ない。
16位 ダイソー |
加藤小雪ー森陽向ー竹原さくらーテレシア ムッソーニー平村古都ー加藤美咲 昨年成績
2023年プリンセス駅伝17位
2023年クイーンズ駅伝不出場
エース区間を無難に走り切れるなら上位もありうるダイソー。今年は3区に竹原さんを起用して勝負。1区、6区の二人の加藤さんは計算できる走り、4区のテレシア ムッソーニは区間上位は間違いない。やはり3区竹原さんと5区の平村さんがダイソーの命運を握る。
無名校からドラフトにかかる野球選手もいるように名門チームでなければ日の目を見ない時代は遠い昔。今や地方のチームにも、そして新規参入したチームにも力のある選手が在籍しています。以前にも増してひとつのミスが大きく順位を変えてしまうのが今年のプリンセス駅伝。注目の16位争いはスターツ、センコー、ダイソー、ベアーズ、京セラ、デンソーあたりか。
ここ2大会は途中棄権で襷が途絶えてしまうチームがありましたので、今年は全チームが無事に襷をゴールまで繋いでほしい。襷が途切れることで逆に注目を集めてしまうのが駅伝ですが、自分の家族が走っていると思えば順位よりも無事で走り終えることが何よりの結果です。その上で女子駅伝が盛り上がり、選手が活躍できる場所がひとつでも増えればそれが何よりの優勝です。
この答え合わせは10月20日(日)11時50分からテレビの前で、TBS系列で。