プリンセス駅伝2024【結果篇】

強豪チームから主力級の選手が移籍し戦力が分散しつつある上に、今大会は外国人選手を起用するチームが12チームもあり、順位変動が激しいレースになりました。クイーンズエイトを狙える戦力を有する上位3チーム以外はひとつのミスで順位が大きく変わる混戦に。6人揃える難しさを改めて感じたプリンセス駅伝2024でした。

そして、ダイソー、ベアーズ、東京メトロにフォーカスを当てた感のあるTV中継。ベアーズの枕詞として「家事代行のパイオニア」を連呼していたことからも駅伝中継もスポンサーありきの「案件」であることを思い知らされた大会でもありました。実業団女子駅伝が盛り上がるのであれば、それもまた良しです。

それでは事前予想した上位16チームの結果を振り返ってまいります。（プリンセス駅伝2024順位予想篇はこちらから）

パリオリンピック後に故障があったという樺沢さんの6区は想定外。それでも一点の曇りもない追い上げは見事、さすがの気持ちの強さ。唯一の誤算と言えば今季好調の3区兼友さんが区間17位。区間賞を争う走りを期待しただけに、ユニクロの3区吉川さんから45秒失ったのは結果的に大きく響いた。その他のメンバーの走りは万全、クイーンズ駅伝ではさらにベストな布陣で5位以内を狙う。

ユニクロの鍵と踏んでいた6区は柳谷さんではなく加藤さんに。その加藤さんが冷静にペースを刻んで三井住友海上の樺沢さんの追い上げを許さずユニクロに初優勝をもたらす。1区の出遅れも2区後藤さんの区間賞の走りで4位に押し上げられたのが大きい。5区平井さんの好走も光る、3区吉川さんのタフさは脱帽級のレベル。この調子を維持できればクイーンズエイトの可能性は充分なユニクロ。柳谷さんも名を連ねてくるはず。

最もオーダー予想に頭を悩ませたしまむら。的中したのは3区のみ。秘策として練りだした5区高橋案は実現せず。全区間区間上位（4区河辺さんは日本人3位）でまとめたしまむらだけに、3区エースの安藤さんの区間9位が誤算。5位豊田自動織機との差は21秒だけに上位を狙える力は見せた。山ノ内さんの復調は追い風。ユニクロとのアパレル対決は6区ではなく3区で実現。

棚池（区間賞）、小林（区間2位）の両エースがエース区間で順当に力を発揮し5位。3区で12位から2位に押し上げた小林さんの快走が全く中継に乗らなかったのは痛恨の極み。新しいスターの出現を難なく逃してしまう。今年は6区ではなく2区にエントリーした川内さん、スピード区間もうまくまとめたのはさすが。今季トラックでの成績がそのまま駅伝でも出た大塚製薬、両エースの負担を軽減すべくチームとしてどこまで状態を上げられるかどうか、本戦では福良さんに期待。

自信を持って1区に予想した大西さんがエントリー外で計算が大幅に狂う。逆に今季はコンディションが上がらずエントリー外と予想した坂本さんは2区で好走（昨年同区間より5秒削り出す）、出遅れたチームを挽回する為に鬼の形相で前に食らいつく走りに勝手に敢闘賞を贈呈。坂本さんの駅伝への思いの強さがこのチームを支える原動力のひとつ。今大会は1区の出遅れが最後まで響く駅伝あるあるにハマってしまった感のあるルートイン。本戦ではエース区間で意地を見せたい。

しまむら同様にオーダー予想が難しい日立。6区予想の田村さんが1区、そして予想に反して区間20位。6区が強い日立は今大会も健在、アンカー花野さんが区間3位の好走、同じく5区区間3位鈴木さんと共に4区終了時点で14位だったチームを8位入賞まで追い上げた。奥本さん、小井戸さんも仕事を果たし、田村さんが本来の力を出せればクイーンズ駅伝でも戦えるチームに。

新戦力の期待の4名は最低限の役割を果たしたが、3区上杉さんは区間5位以内で走れると計算していただけにやや物足りない結果に。本来なら6区に起用したい佐藤さんの2区も本調子とは言えず、本戦初出場を決めた東京メトロだが、全体的にはやや消化不良。しかしながら東証に上場し時価総額1兆円を超えただけに今後の大型補強もありうるし、来季は予算も増えるでしょう。行く末が楽しみなチーム。

やはりというべきか、残念というべか、コンディション調整が難しいのか、駅伝よりもトラック、マラソンを重視するチームの方針なのか、見るからに練習を積めていない選手を起用しなければならない苦しい台所事情なのか、ユニバーサルACは予想を大きく裏切る結果に。復帰レースと見込んでいたナオミムッソーニさんも出走見送り。ヤマダから移籍した筒井さんが救世主となるのか、それともまた主力の移籍があるのか。

古川さんの動きがやや悪く区間15位は本来の力を考えると悔しい結果。4区ムソニさんは中継所手前で失速しながらも襷を繋ぐ。チームの大黒柱である二人の不調を5区杉浦さんと6区炭谷さんがカバーする形で2年連続で本戦出場を決めたニトリ。昨年の10位から順位は落としたもののチーム全体の底上げは見えた。

細田さんを欠く中でエディオンが見据えるのはクイーンズ駅伝のみ。と思いきやプリンセス駅伝でも優勝争いを演じる強さ。3区区間賞矢田さんの洗練されたフォームと体つきからわかる練習量はもはや日本代表クラスの風格を纏う。故障明けの名和さんは2区で区間2位、一心不乱に前だけを見据える激走でトップに立つ。前半の大きな貯金がありながら、5区〜6区もミスなくまとめたエディオン、ここに細田さんが加われば盤石のオーダーを築ける。今回の出走メンバーがうまくリカバリーできればクイーンズ駅伝でも上位争いをすること間違いなし。

チームを牽引する薮下さんがアンカーで貫禄の区間2位、まだまだ強い、エカラレさんと共にチームを5位に導く。3区へ6番目で襷を繋いだ1〜2区の成長は豊田自動織機の未来。課題はエース区間を走りきれる大砲不足なのは明らか。現メンバーの成長を待つのか、新戦力が加わるのか。今シーズンのスピード強化が来シーズンにどう繋がるのか楽しみなところ。

今季のトラックでの好調さがそのまま駅伝でも出た格好のシスメックスは、前年の18位から4位へ飛躍。3位エディオンとは2秒差、日本人のみのオーダーでこの結果は表彰台に値する。田崎さんは1区向きなのかは疑問が残るとしても、酒井さん、尾崎さんの好走を見たら1区でも納得。ここに来ての瀬川さんの区間2位も立派、4区日本人トップの黒田さんがいい流れで後半区間に渡せたのも大きい。6区の石井さんも見事復活し、ひとつのミスもなく最高の駅伝を見せてくれたシスメックスに勝手に最優秀チーム賞を贈呈。

南雲さんの気持ちの強さが肥後銀行に強烈な勢いをもたらす。もともと強い選手とは言え、結婚〜出産を経て、子育てをしながらこの強さは異常なレベルで尊敬せずにはいられない、勝手に優秀選手賞を贈呈。このキャリアの築き方は今後の女子長距離選手のひとつのモデルケースともなりうる素晴らしさ。堤さん、大塚さん、ダイアナさんも力通りの走りで4区終わりで3位につけた肥後銀行。酒井さんが戻れば来年は表彰台も見えてくる。

西川さんが走れない中での15位は立派。その立役者でもあるのが1区区間賞の伊澤さん。引退というリフレッシュ期間を経ての見事な復活劇。フォームも風貌もユニバーサル時代より研ぎすまれた印象、自身Finalチャンスと掲げた覚悟を感じる素晴らしい走りに勝手に最優秀選手賞を贈呈です。4月から弘山監督が就任しチームを一新したスターツ、前体制に比べリクルーティングも優位に働くはず、その将来性に期待。

昨年1区5位の大砲下田平さんが今年は1区で不発。流れに乗れないままズルズルと後退。5区竹山さんも悪い流れに坑がうことができず、二年連続を目指したクイーンズ駅伝出場を逃す。今年で3回目のプリンセス駅伝となるセンコーだが、走る顔ぶれは3年間ほとんど変わっていない。今後チーム内に競争をもたらす選手が加入するかどうか、その選手を引き止められるマネジメントができるかどうか、それがセンコーの行く末を決める鍵となる。

二年連続17位で本戦出場を逃す。期待の竹原さん平村さんがそれぞれ区間28位と21位では、4区ムッソーニさんを擁しても勝負できない。ベストな布陣を組めないのはどのチームも同じ、中心選手がチームを牽引する走りができなければ苦しい。来年は「二年連続17位の悲劇のヒロイン」として注目を集めることは間違いない、捲土重来、三度目の正直なるか。

以上、プリンセス駅伝2024事前予想の答え合わせでした。上位16チームを予想してひとつも的中せず、的中率驚異の0％。いくら順位変動が激しいレースと言えども目も当てられない結果となりました。でもまだチャンスはあります、11月24日（日）クイーンズ駅伝2024、これに懲りずにまた予想させていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。選手、スタッフ、関係者のみなさまお疲れさまでした。

プリンセス駅伝2024総合成績はこちらから。