「亜由子さんがラストの直線で凄い勢いで来てくれて“行け!”いうふうに渡してくれたので、その勢いを力に変えて最後まで頑張ることができました。凄い苦しかったです。」
史上最強の布陣で臨んだ積水化学の連覇を止めたJP日本郵政のアンカー太田琴菜さんのレース直後のコメント。勝因は「チームワーク」というほど駅伝は簡単なものではありませんが、チームワークを競うスポーツが駅伝であることに改めて気付かされた今年のクイーンズ駅伝。
解説の高橋尚子さんが「伝説に残るシーン」と称した、JP日本郵政の鈴木亜由子さんと積水化学の新谷仁美さんの5区の戦いはまるで映画のような筋書き。日本の女子長距離界を長年支えてきた二人が、互いに30歳を超えてもまだ第一線でしのぎを削る姿は胸に迫るものがありました。
行けー!と叫びながら左手で太田さんの背中を目一杯押し出す鈴木さんに対し表情ひとつ変えずに淡々と襷を渡す新谷さん。結果的にこの二人の襷リレーが勝敗を分けることになったのもまたドラマチック。全24チーム計144人で作り上げた壮大な物語のハイライトシーンとして今後も語り継がれていくことになりそうです。
それでは事前に予想したクイーンズ駅伝2024の区間オーダーと総合順位の答え合わせです。今回は時間の都合上1位~13位までしか予想していませんので、その13チームの結果を振り返ります。的中ゼロで終えたプリンセス駅伝のリベンジなるか。
1位 JP日本郵政グループ |
🏆️予想順位 3位
✏️戦前予想
主力の多くがトラックレースに出場していない為、その状態は未知数。故障明けの廣中さんは夏過ぎからどこまで戻せたのか。今回は8割のコンディションと踏んで3区ではなく1区でスピードを活かしたい。3区は日本選手権10,000m5位、5,000m7位の今季好調キャプテン菅田さんが適任。マラソンに専念する鈴木さんの状態も気になるがそこはベテラン、慣れ親しんだ5区でユニクロ、パナソニックとの差を広げる。日本郵政最大の補強ポイントはチーム初の外国人ランナー、カリバ カロラインさんの入部。4区で計算できるのは大きい。2区と6区は実績のある太田さん和田さんか、それとも今季走れている大西さん牛さんか。今年は主力の調子が万全ではないにせよ、もともと力のある選手ばかり、菅田さんが上位でレースを運べることになれば今年もトップ3でフィニッシュできる。
🗒️予想区間オーダー
廣中璃梨佳ー和田有菜ー菅田雅香ーカリバ カロラインー鈴木亜由子ー大西ひかり
🗒️区間オーダー
菅田雅香ー牛佳慧ー廣中璃梨佳ーカリバ カロラインー鈴木亜由子ー太田琴菜
故障明けの廣中さんが3区にエントリーされた時点で、ひょっとしてあるかも?と思わせたJP日本郵政。太田さんの6区も嬉しいサプライズ。
今年の郵政最大のプラス材料といえばチーム初の外国人ランナーの加入、そのカロラインさんは期待通りの区間3位で順位を3位から2位へ上げる。二年連続1区の菅田さんは昨年のタイムを34秒更新しての区間3位、積水化学が見えるところで襷を渡せたのは大きい、1区の重責を果たす。二年連続2区の牛さんは昨年に続き区間2位、長いストライドは一人別次元、さすが陸上サラブレッド、今後も楽しみ。廣中さんは、今の力でできることを10.6kmを通して表現、それで区間2位は強すぎる。資生堂五島さんに抜かれたものの4区で待つカロラインさんの存在が走りに落ち着きをもたらした。そして5区、鈴木さんの計算し尽くされた走りが4年ぶりの優勝を引き寄せた。襷を受けた時点で積水化学の新谷さんに追いつかれることは想定済み、焦ることなく逆に動きが良くなる。新谷さんに引かせながら力を温存し最後の上り坂まで脚を残して積水化学から貴重な1秒のリードを奪った。鈴木さんの勢いを受けてスタートした6区太田さん、積水化学の森さんの飛び出しにも冷静に対応。付かず離れずの距離で森さんの状態を伺いながら5km過ぎの下り坂を利用して鮮やかなロングスパートを決める。その大復活の走りと前述のチーム愛に溢れる素敵なコメントに対し個人的最優秀選手賞を贈呈。
鈴木さんも太田さんも戦況と自身のコンディションを照らし合わせて勝負所を見極めた。勝利の立役者を一人に絞れないほど全員がチームのために力を尽くし最高の駅伝を作り上げたJP日本郵政。このチームにはまだ和田さん、大西さん、小坂井さんもいる。今年の太田さんの見事な復活劇を来年はこの三人が見せれるか。
2位 積水化学 |
🏆️予想順位 1位
✏️戦前予想
実業団女子駅伝チーム史上最強、見据えるのは大会記録2:12:28(資生堂/2022)更新での連覇。誰にどの区間を任せても走れる強さと層の厚さ。軍を抜くピーキング力で確実にあわせてくる佐藤さんと新谷さんは例年通りの3区、5区。2区にエースクラスを配置できるのが積水化学の恐ろしさ、昨年区間賞の山本さんで固く行きたい。唯一苦戦が予想されるのがインターナショナル区間の4区、JP日本郵政が外国人ランナーを起用するだけにここでのロスは最小限に留めたい。昨年は佐々木梨七さんが好走したが、今年は、1,500でPBを出すなど進化をやめない森智香子さんか、あるいは本来であればエース区間を走るべき実力者の田浦さんか、今回は距離適性を考えて森さんと予想。1区はぐいぐい押せる木村さん、そしてアンカーは昨年、大会直前の怪我で走れなかった楠さんがその悔しさを晴らす。TWOLAPS所属の高いプロ意識を持つアスリートを擁する積水化学、その自己管理能力の高さも強さの要因。11月24日時点でベストの6人が走れば優勝、敵はプレッシャーが引き金となるアクシデントのみ。
🗒️予想区間オーダー
木村友香ー山本有真ー佐藤早也伽ー森智香子ー新谷仁美ー楠莉奈
🗒️区間オーダー
田浦英理歌ー山本有真ー佐藤早也伽ー楠莉奈ー新谷仁美ー森智香子
100点を目指した中での95点と90点を目指した中での95点、同じ95点でもリアクションは真逆。強すぎる王者ゆえの焦りに苦しめられた積水化学。
1区田浦さんのギヤの多さには驚き。昨年同区区間5位で「個人的には良くない走りだったので、悔しい」と言える人並み外れた向上心の高さで今年は宣言通りの区間賞を獲得。続く2区山本さんも二年連続の区間賞で完全優勝の機運が高まる。3区の佐藤さんは例年に比べてキレがなかったにせよ、郵政から23秒遅れの区間6位でまとめたのはさすが。しかしレース序盤があまりに完璧過ぎた為、首位から3位に順位を落としただけで積水化学には不安を、ライバルチームには希望をもたらすことになる。それでも4区楠さんはインターナショナル区間で区間6位(日本人1位)は見事、JP日本郵政のカロラインさんからも16秒差と被害を最小限に留め、2位で5区へ繋ぐ。
前を行くJP日本郵政とは22秒差、新谷さんの逆転を誰もが思うなか、蓋を開ければ鈴木さんに追いつくのが4km過ぎとやや遅く、追いついた後も引き離せない。レースプランにない展開に生じた焦りは襷と共に6区へ。アンカーの責任を果たす為、今季好調の自らの力を信じてJP日本郵政を一気に引き離すことを選択した森さん。それが結果的に必要以上に脚を使ってしまうことになり太田さんのロングスパートに対応できず。
さすが積水化学、完全優勝で連覇か!と思わせたレース序盤。過度な最強幻想が自らの足かせに。もし最初から追う展開になれば違う結末が見れた可能性もある。ミスらしいミスもないなかで敗れた積水化学、ただ史上最強には変わり無し、この経験をどう活かすか来年の駅伝に注目。
3位 しまむら |
🏆️予想順位 10位
✏️戦前予想
プリンセス駅伝7位。今年のメンバーの充実ぶりを考えたらもう少し上位でもおかしくなかった。クイーンズ駅伝に向けてメンバーの変更はないが、チームの中でも絶好調の山田さんを主要区間で起用したい。そして同じく状態が上向きの山ノ内さんを5区に。3区の安藤さんがヒタヒタと上位チームに忍び寄れたら10位圏内もあるしまむら。
🗒️予想区間オーダー
山田桃愛ー髙橋優菜ー安藤友香ー河辺友依ー山ノ内みなみー鈴木杏奈
🗒️区間オーダー
山ノ内みなみー山田桃愛ー安藤友香ー河辺友依ー鈴木杏奈ー髙橋優菜
今季トラックで好調のしまむら。トップ3を狙えたプリンセス駅伝では不発だったが、その分クイーンズ駅伝で爆発。本戦で3位躍進。全区間通して穴のないバランスのとれたオーダー、6人全員が予選会を上回る走りを見せた。
プリンセス駅伝から1区と6区を入れ替えた監督の采配が見事にハマる。環境にも慣れ以前の力を取り戻した山ノ内さんが1区5位、しまむら大躍進の口火を切った力強い走りに個人的優秀選手賞を贈呈、もともとトレイルランナー志望だったこともあり1区向き。そして本来であればエース区間も走れる高橋さんが6区で区間3位、今季出した5,000m15分36秒の力を見せた。そして躍進の立役者は大卒ルーキーの2区山田さん(玉川大学)と5区鈴木さん(大阪芸術大学)。駅伝強豪校出身でもなく、エースでもない、そんな二人が実業団1年目で急成長。山田さんは区間記録の区間4位で二人抜き、鈴木さんはエースひしめく5区で区間2位、こちらも二人抜きでアンカーに4位で繋ぐ見事な実業団駅伝デビュー。
2019年には日本代表経験もある山ノ内さんの復活。そして同じく世界を知る安藤さんの加入も大きい。駅伝では15位~20位が定位置だったしまむらに王者ワコールの哲学を注入。強い2人がしまむらの基準を上げた。質の向上とリクルーティングの成功が実を結んだ1年、今回の躍進をキッカケにさらなるチーム力の底上げが期待できる。埼玉を本拠地とするしまむらなら関東近郊出身の選手の移籍も大いにありえる。
4位 パナソニック |
🏆️予想順位 5位
✏️戦前予想
昨年、三強の一角を崩したパナソニック。そのパナソニックの駅伝を長年支えた内藤さん、堀さんが引退。昨年も2区区間2位、あらゆる区間を走れた内藤さんの穴は大きいが、期待のルーキー日体大の保坂さんで2区を埋める。3区は渡邊さん、駅伝に滅法強いエースはどんな時でも区間5番以内で襷を繋ぐ、パナソニックの心臓、止まることはない。4区ジャネット・ニーヴァさんがダイハツ、第一生命から30秒~50秒奪えるのは大きい、1秒でも多く貯金を作って5区中村さんに渡したい。年々距離も力も伸ばしている信櫻さんは今年も1区、昨年は区間6位の好走が総合3位に繋がった。近年入れ替わりの激しい実業団チームのなかでも移籍の少ないパナソニック。その強い絆とメンバーが実力通りの力で襷を繋げば、最低でもクイーンズエイトは守れる。
🗒️予想区間オーダー
信櫻空ー保坂晴子ー渡邊菜々美ージャネット・ニーヴァー中村優希ー森田香織
🗒️区間オーダー
信櫻空ー保坂晴子ー渡邊菜々美ージャネット・ニーヴァー石川桜子ー森田香織
今年で引退を発表した森田香織さんのクイーンズ駅伝ラストランを4位で締めくくる。ゴールテープを切る森田さんを出迎えたエース渡邊さんの涙にパナソニックの強さを見た。その森田さんは6区7位で一人抜き、駅伝を知り尽くした貴重な戦力だけに引退は寂しくチームとしても痛い。
それでもパナソニックの未来は明るい、故障のキャプテン中村さんの代役として5区にエントリーされた高卒ルーキーの石川さんが区間4位と大健闘。高卒ルーキーが10km区間に抜擢されるのも凄いが、細田さん一山さんといった日本のトップクラスを従えての堂々とした走りは18歳とは思えない、頭が全くブレない無駄のないフォームも素晴らしい。4区のジャネット・ニーヴァさんが昨年よりタイムを50秒落としたが見事にカバー。
1区信櫻さんは昨年と同じ区間6位。タフなコースで昨年とは異なる展開でも対応できたのは力がある証。2区期待のルーキー保坂さんはその実力からするとやや伸びなかったが、スピードは持っている、来年に期待。そしてエース渡邊さんはエースらしい働き、今年も区間3位でチームを4位に押し上げる。パナソニックのDNAを受け継いだ渡邊さん、2017年に加入以来パナソニックがクイーンズエイトを逃したのはわずかに1度、名実ともにパナソニックの大黒柱となり来年は再度三強に挑む。
5位 エディオン |
🏆️予想順位 4位
✏️戦前予想
ベルリンマラソン明けでプリンセス駅伝を回避した細田さんが戻って来る。今年は5区、今の細田さんの力を持ってすれば区間賞もある。そして3区はキャプテン矢田さん、区間賞を獲得したプリンセス駅伝よりもう一段ギアをあげた走りを期待したい。2区はプリンセス駅伝3位の立役者の一人ルーキー名和さん、持ち前の粘り強さを発揮して矢田さんにいい流れで繋げるか。故障明けにも関わらずプリンセス駅伝では好走した水本さんは今回も得意の1区で勝負、その力を全国に披露するチャンス。4区は溝上さんのスピードに賭けたいが、いつも通りなら工藤さんか。成長した両エースが万全のエディオン、繋ぎの区間で流れに乗れば一気に上位進出もありうる爆発力を秘めている、二年ぶりのクイーンズエイト入りへ視界良好。
🗒️予想区間オーダー
水本佳菜ー名和夏乃子ー矢田みくにー溝上加菜ー細田あいー中島紗弥
🗒️区間オーダー
水本佳菜ー中島紗弥ー矢田みくにー名和夏乃子ー細田あいー平岡美帆
もう1区のスペシャリストと呼んで差し支えない三大会連続1区の水本さんは今回も好走、その安定感はエディオンの強みのひとつ。ここ最近は繋ぎの区間で順位を大きく落とすことが多かったエディオンのウィークポイントでもある2区と4区を中島さんと名和さんがそれぞれ一人抜きの好走。繋ぎの区間で計2つ順位を上げたことがクイーンズエイト入りに大きく貢献した。
そして両エースがエース区間できっちりと仕事をこなし総合5位。矢田さんは序盤から苦しい展開ながらも粘りの走り、今季国内最強レベルの細田さんはその力通りに区間賞。チームの新陳代謝に成功したエディオン、来年、名和さんが主要区間を走れたらさらに面白いチームに。萩谷楓さんが退部していない世界線なら優勝もありえた。
6位 岩谷産業 |
🏆️予想順位 12位
✏️戦前予想
昨年創部6年目で初のクイーンズエイト入りを果たした岩谷産業。近年チーム全体の底上げが著しい。なかでも絶対的なエースに成長した川村さんは今年の日本選手権10,000mで6位。コンスタントにレースに出場し結果を出し続けるタフさも魅力、狙うはエース区間で区間3位以内。今季5,000mで揃ってPBを出した前田さん、西尾さん、八木さんの3名もメンバー入りへ。そこにベテラン中野さん、安井さんを加えた6名で勝負。昨年5区5位と好走した中野さんが今年も元気ならシード権争いに挑戦できる。昨年6区を走った若井莉央さんの引退(その後9月にワコールで復帰、プリンセス駅伝で3区区間4位)も痛いところだが、それを忘れてしまえるくらいの結果を期待したい。
🗒️予想区間オーダー
安井絵理奈ー西尾咲良ー川村楓ー八木美羽ー中野円花ー前田梨乃
🗒️区間オーダー
安井絵理奈ー西尾咲良ー川村楓ー小山愛結ー中野円花ー八木美羽
二年連続のクイーンズエイト入り、昨年の8位から6位へ順位を上げた岩谷産業の強さは本物。その顔つきから自信と使命感が漲るエース川村さんは区間4位の爆走で5人抜き。あまりのタフさに勤続疲労がやや心配。安井さん、中野さんの両ベテランは今年も健在、昨年と同様の働きを見せた。特に9位からシード権内の8位に上げた5区中野さんの走りはさすが、6区で待つチームの成長株八木さんを勢いづかせた。その八木さんは二人抜きでチーム最高位の6位でフィニッシュ、若井さんの退部を忘れさせてくれる強さ。
川村さんが押し上げた順位を守り抜く岩谷産業の駅伝に今年は全区間で粘れる層の厚さもプラス。若手、中堅、ベテランとバランスのいいメンバーに、スピードランナーからマラソンランナーまでタイプの幅も広い、メンバー争いも激しさを増す岩谷産業、その強さはまだまだ発展途上。
7位 第一生命グループ |
🏆️予想順位 8位
✏️戦前予想
パリ五輪日本代表の小海さんと鈴木さんを中心に戦う第一生命。昨年は1区2位でチームに流れを引き寄せた小海さんは今年も好調、3区でライバルチームのエースと勝負。パリ五輪マラソン6位の鈴木さんも順調、後半のエース区間の5区に起用。ここ数年は駅伝レギュラーで昨年6区区間3位の古川さんの退部はマイナスポイントだが、スピードが戻り復調傾向の出水田さんで2区を繋ぐ。ミスのできない1区は立命館大学時代に1区区間賞の経験もある飛田さんを抜擢したい。4区は実業団駅伝デビューの松本さん。5区鈴木さんが前を行く三井住友海上に並び、アンカー櫻川さんでラスト競り勝てるか。クイーンズエイト最後の一枠は第一生命と予想。
🗒️予想区間オーダー
飛田凜香ー出水田眞紀ー小海遥ー松本奈々ー鈴木優花ー櫻川響晶
🗒️区間オーダー
鈴木優花ー樋口ほのかー小海遥ー増渕祐香ー出水田眞紀ー松本奈々
鈴木優花さんの1区起用は予想外。マラソンランナー向きではないような、真意が気になる。その鈴木さんは中間点でトップ集団のスピードについていけず粘りの走りに。2区樋口さんも最低限の走りは見せたが序盤は苦しいスタートとなった第一生命。それでも小海さんが実力通りの好走で、12位から3人抜いて8位の背中が見える位置で後半へ。そして出水田さんが初の5区で復活の走り。シード権外に落ちたチームを救う4人抜きの力走に個人的優秀賞を贈呈、ようやくその持てるポテンシャルをエース区間で発揮できた。鈴木さんの1区は出水田さんの状態の良さゆえなのか。アンカー松本さんは8位ボーダーラインのプレッシャーの中、7位を堅持、今季着実に伸ばした力で役割を果たす。
全区間を通して岩谷産業とランデブーな駅伝となった第一生命、互いに引き合い両チームとも晴れてクイーンズエイト入り、レース展開も味方した。原田さん、飛田さん、櫻川さんを欠くなどベストなオーダーを組めない中での7位は逆に底力の高さを示した。
8位 資生堂 |
🏆️予想順位 2位
✏️戦前予想
大砲を揃える資生堂。その3人のオリンピアンをどこで起用するかが見どころ。今年の10,000m日本チャンピオン五島さんは満を持して3区へ。今季も変わらぬ強さを見せるピークを知らない高島さんは昨年区間賞の5区。そして昨年はMGCの影響もあり3区でブレーキとなった一山さんは、ワコール時代に区間賞も獲得している1区でリベンジ。今季絶好調井手さんのスピードは2区でこそ活かしたいが、ジェプングティチ ジュディさんがまさかのエントリー外で6区もありえる。4区で1分以上を失う可能性もあり、高島さんが突っ込みすぎる恐れも。調子上向きの大谷さん、風間さんの奮起にかかる。前半区間は積水化学と互角に戦える資生堂。優勝には五島さんの圧倒的区間記録が不可欠だが、それでも今年は一歩足りないか。
🗒️予想区間オーダー
一山麻緒ー井手彩乃ー五島莉乃ー大谷菜南子ー高島由香ー風間歩佳
🗒️区間オーダー
風間歩佳ー井手彩乃ー五島莉乃ー石田萌笑ー一山麻緒ー大谷菜南子
高島さん、ジュディ・ジェプングティチさんが欠場。二枚落ちの苦境にも関わらず3区五島さんの区間賞の爆走でクイーンズエイトを守った資生堂。四年連続の区間賞となった五島さんは心身ともに本当に強い、トラックでもロードでもオールマイティな対応力、この距離は国内無敵。
実業団駅伝デビューの風間さんの1区区間8位は資生堂の明るい未来。アップダウンの激しいコースでトップ集団で走り切れた経験は今後の自信に繋がる。8位で受けた襷を4位まで上げた2区井手さんのスピードは既に資生堂の屋台骨を支える戦力、移籍二年目の今年も区間記録の3位、来年こそは区間賞を。前半を首位で折り返すも4区は当日エントリー変更の高卒ルーキー石田萌笑さん。実業団初駅伝で首位、しかも当日変更の状況でも笑顔で襷を受けたのは凄い、名は体を表す、この貴重な経験を活かせるか。一山さんの5区エントリーはハムストに痛みを抱えた高島さんの代役。本調子でない中でも気負わず焦らず今できる走りを全うし区間8位は見事。今後はどうなるのか、その去就は資生堂にとっても大きな岐路。アンカー大谷さんはその力からすると区間20位は不完全燃焼。
積水化学が後半伸びなかったことを考えるとベストオーダーを組めていたら資生堂優勝の可能性が高かった。タラレバを言い出したらキリがないけど、そんなパズルゲーム的な要素も駅伝の面白さのひとつ。いつまでもあると思うな親と高島さん。主力の力頼みにならない駅伝が資生堂の課題。三たび有力選手の獲得もあるのか。
9位 ユニクロ |
🏆️予想順位 6位
✏️戦前予想
プリンセス駅伝優勝チームが三強に挑む、注目のユニクロ。プリンセス駅伝を回避した柳谷さんが間に合えば6区に。ただプリンセス駅伝でアンカーを務めた加藤さんも好調をキープ。状態次第ではぶっつけ本番で5区柳谷案もなくはない。クイーンズエイトクラスは5区、6区が強い、前半区間で1秒でも多く稼いでおきたいところ。ユニクロ浮上のポイントは1区の川口さんの走りに尽きる。後ろに控えるユニクロのツインターボ(例えダサい)後藤さん吉川さんに前方で繋げれば4区終了時点で2位もある。前年のプリンセス駅伝優勝チーム岩谷産業はクイーンズ駅伝8位。上位の壁は厚いがユニクロ、目標のトップ3に向けて1区川口さん爆発なるか、5区平井さん覚醒なるか。逆にこの2区間でミスればクイーンズエイト入りに黄色信号が灯る。
🗒️予想区間オーダー
川口桃佳ー後藤夢ー吉川侑美ーオマレ ドルフィンニャボケー平井見季ー柳谷日菜
🗒️区間オーダー
川口桃佳ー後藤夢ー吉川侑美ーオマレ ドルフィンニャボケー平井見季ー阿部円海
プリンセス駅伝王者ユニクロ、本戦では予選会よりも個々の力が発揮できず惜しくも9位。1区川口さんは爆発まではいかずともトップから30秒遅れの区間11位なら及第点。ただ2区の後藤さんにいつもの伸びがなく出遅れる展開に、後藤さんで最低でも8位圏内には入りたかった。ユニクロでのラスト駅伝となった3区吉川さんも流れを変えれず。4区オマレ ドルフィンニャボケさん終わりで7位。6区クイーンズ駅伝デビューの阿部さんが好走しただけに勿体ない結果に。8位資生堂とは僅か9秒差、クイーンズエイトまで300m足りず。最大のチャンスを逸したユニクロ、来年は吉川さんの穴を埋めるエースの登場に期待。
10位 天満屋 |
🏆️予想順位 13位
✏️戦前予想
昨年7位の立役者でもある1区7位谷本観月さんと6区間賞大東優奈さんの引退は大きな戦力ダウン。そこにきてパリ五輪を疲労骨折で欠場した前田穂南さんもまだ復帰は時期尚早、今年はじっと我慢の時。新生天満屋に向けて吉薗さん、立迫さん、西村さんの若手有望株三人で主要区間を走りチームを引っ張る。2区は秋に入り3,000mでPBを連発するルーキー山口さん、4区は渡邉さんか。6区はベテラン松下さんに来年へ繋がる走りを期待したい。チームの顔でもあった小原玲さんも引退し転換期に差し掛かる天満屋、今は種を蒔き根を張る時、花が咲くのは来年以降に。
🗒️予想区間オーダー
西村美月ー山口綾ー立迫志穂ー渡邉 桃子ー吉薗栞ー松下菜摘
🗒️予想区間オーダー
𠮷薗栞ー立迫志穂ー松下菜摘ー渡邉 桃子ー片岡碧巴葉ー山口綾
𠮷薗さんの1区に走りに天満屋の底力を見る。速くてタフなランナー、トップと同着での区間2位は見事。𠮷薗さんと並んで将来のエース候補の立迫さんは2区10位、西村さんは5区9位、両選手とも昨年を上回る成長ぶりを見せる。高卒ルーキー6区山口さんを含む若手主体のオーダーで総合10位は立派。やはり天満屋、派手さはなくても侮れない強さ。来年は前田穂南さんも復帰しクイーンズエイト返り咲きも大いにある。
11位 ダイハツ |
🏆️予想順位 7位
✏️戦前予想
3年連続5位、安定感抜群のダイハツ。主力メンバーの顔ぶれは変わらないが、それだけに持ち場も役割も明確。そして例年クイーンズ駅伝にしっかり合わせてくるのも強み。1区を任せられる大森さんの存在がチームに安定をもたらした。3区加世田さん、5区松田さんの世界を知る二人が他チームのエースと存分に戦える。今年は2区の西出さんに期待、昨年4区日本人1位のスピードを再現できれば序盤からシード圏内でレースを運べる。4区は同区経験豊富な武田さん。そして最後の一枠は前田さん、竹本さんで争う。どちらもロードに強い選手、状態の良さで選ぶ以上はどちらが出場してもしっかりアンカー区間をまとめられるはず。大きな穴がないダイハツ今年もそつなくシード権獲得。
🗒️予想区間オーダー
大森菜月ー西出優月ー加世田梨花ー武田千捺ー松田瑞生ー竹本香奈子
🗒️区間オーダー
西出優月ー村尾綾香ー加世田梨花ー武田千捺ー松田瑞生ー竹本香奈子
大森さんが外れたとは言えベストに近いオーダーでの11位で4年ぶりにシード権を逃す。4区までは想定内の走りだっただけに5区松田さんの想定外の失速が響いた。9月に海外マラソンを走り終えこれから本格的なマラソンシーズンに入る繋ぎのタイミングでの駅伝、その調整は難しい。日本を代表するマラソンランナーと実業団駅伝のエースを兼任する大変さ。来年は久しぶりにプリンセス駅伝を走るダイハツ、今大会で実業団駅伝デビューを果たした村尾さんの存在など明るい材料もある。
13位 三井住友海上 |
🏆️予想順位 9位
✏️戦前予想
プリンセス駅伝では故障明けで6区にまわった樺沢さんが定位置の1区で区間賞を狙う。そのプリンセス駅伝で失速した兼友さんは本戦で力通りの走りができるか。2区、5区、6区はオールラウンドに走れる松田さん清水さん、そして故障によりプリンセス駅伝を回避した西山さんの3人の状態を見て起用、なかでも好調を維持する松田さんを5区に。復調段階にある小林さんは見送りと予想、来年に期待。1ヶ月前のプリンセス駅伝ではチーム状態が万全ではない中でも2位、兼友さん、カマウさんがトラックシーズンに比べ調子が落ち気味に見受けられるが果たして…。例年冬よりも夏の方がチーム状態が良いイメージがある三井住友海上、この1ヶ月でそのイメージを払拭する仕上がりとなっているのか、すべては3区兼友さんの復調でクイーンズエイト入りは決まる。
🗒️予想区間オーダー
樺沢和佳奈ー西山未奈美ー兼友良夏ーカマウ タビタジェリー松田杏奈ー清水萌
🗒️予想区間オーダー
松田杏奈ー西山未奈美ー樺沢和佳奈ーカマウ タビタジェリー清水萌ー兼友良夏
監督の采配がことごとく裏目に出た感のある三井住友海上、こんなはずじゃなかったの声が聞こえてきそう。1区松田さん区間20位、3区樺沢さん区間17位、5区清水さん区間20位。そして6区にまわった本来3区を走るべき兼友さんが区間2位、駅伝は難しい。西山さんが2区で好走したにも関わらずTV中継では「京セラから移籍した松田杏奈」と紹介をされる始末。踏んだり蹴ったりの三井住友海上の今大会最も盛り上がったシーンといえば高橋尚子さんがTV中継内で拓大の不破聖衣来さんの三井住友海上入りを発表したところ。来年は必要以上に集めてしまう注目を力に変えられるか。
14位 シスメックス |
🏆️予想順位 11位
✏️戦前予想
プリンセス駅伝では会心の駅伝を披露したシスメックス。いい流れを崩したくはないが、東日本女子駅伝でも好走した石井さんの最近の充実ぶりを見ると3区に起用したくなる。プリンセス駅伝でチームを波に乗せた2区瀬川さんの走りがクイーンズ駅伝の舞台でも再現できれば面白い。そして5区尾崎さん、同期の黒田さんからの襷リレーを発射台に本戦でも全力を出しきれるか。
🗒️予想区間オーダー
田﨑優理ー瀬川帆夏ー石井寿美ー黒田愛梨ー尾崎光ー酒井想
🗒️予想区間オーダー
尾崎光ー田﨑優理ー酒井想ー黒田愛梨ー石井寿美ー瀬川帆夏
会心の駅伝を見せたプリンセス駅伝から1,2,5,6区を変更。エース田崎さんの不調がひと目でわかるオーダーに。その田崎さんが2区区間20位と苦しむ。スタートから流れに乗れず、区間一桁順位は6区5位の瀬川さんのみ。2大会連続で6人のコンディションを合わせる難しさ。それでもトラックシーズンからの選手の成長がハッキリと駅伝に現れた。もう予選会で落ちるチームじゃない。
※12位は豊田自動織機 事前予想の1位〜13位に入れていないため割愛しています。
結果は今回も的中ゼロ!センター試験のマークシートでも1問くらいは当たりそうなものですが…それだけ駅伝は難しいから面白い。今年はたくさんの復活劇が見れたクイーンズ駅伝、連覇という見えない敵と戦い続けた積水化学に、失うものがないチャレンジャーとして挑んだJP日本郵政、立場を逆にして迎える来年のクイーンズ駅伝2025が今からとても楽しみです。
読んでくださった皆様ありがとうございました。選手の皆様お疲れ様でした。また来年よろしくお願いします。
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