クライマー平出和也さんがTBS『クレイジージャーニー』出演時に明言していたシスパーレ(7,611m/パキスタン)への四度目の挑戦。その模様をNHK-BSで放映するという結果的に局をまたいだシスパーレ登頂物語の完結編、BS1スペシャル『銀嶺の空白地帯に挑む~カラコルム・シスパーレ~』が放映されました。

 

 

平出さんは短期速攻型登山のアルパインスタイルで未踏峰・未踏ルートへの挑戦を信条とするクライマー。2008年にはカメット峰(7756m/インド)南東壁未踏ルートの初登攀に成功。その功績が認められ登山界のアカデミー賞といわれるピオレドール賞を谷口けいさんと共に日本人として初受賞した凄い人。そして登山家でもありながら山岳カメラマンとしても活躍するクライマーとクリエイターの二つの才能を持つ稀有な山岳二刀流。竹内洋岳さんのガッシャーブルムII峰の再挑戦時の撮影や先日NHKで放映された佐々木大輔さんの『デナリ大滑降』の撮影もされています、あの田中陽希さんの『グレートトラバース』もそう。

 

平出さんの登山は面白い。“人間の力で自然に挑む”そのシンプルな目的もそうだし、数字とかライバルに縛られず無用な大義名分がないのがいい。だから結果よりもその過程に心を惹きつけられる。撤退という“敗北”で山の怖さをきちんと教えてくれます。

 

そんな平出さんが過去三回“敗退”したのがシスパーレの未踏ルート。『クレイジージャーニー』で「人生を賭けて登りたい」と四度目の挑戦を表明した時にダウンタウン松本さんが「いやですよ、やめてくださいよ」と平出さんの身を案じたのが印象的でした。無事に登頂成功した今、クレイジージャーニー二度目の出演が楽しみ。

 

 

今回挑戦したシスパーレ北東壁ルート。恐ろしいです。人間のチャレンジ精神って。

 

 

パートナーは中島健郎さん。シスパーレに関西弁がこだまする。ベースキャンプで披露した餅入りチーズお好み焼きが美味しそうでした。

 

 

ベースキャンプの目の前は迷路のような大氷河帯。BCを発つ朝「行かなくていい理由を探してるところもある」と語った言葉が印象的。

 

 

C1へ、クレバスが口を開ける氷河を抜ければ今度は雪崩との戦い。巨大なセラックが頭上に。

 

 

軽量化を優先する為、食料は最低限の12食+行動食。一食につきひとり半人前の計算。呼吸が浅くなる睡眠時に高所障害が出る中島さんに対して平出さんは元気。高所順応しやすい体質なのか。

 

 

C2までは雪と氷に覆われた高低差900mの壁。体力に自身のある平出さんが中島さんの荷物を5kg持ち身軽になった中島さんがルート工作して進む。降りたての雪が流れ落ちてくるチリ雪崩との戦い。

 

 

C1から11時間。当初の予定地であった岩壁の下にはテントを張れる場所がなくルートを外れた雪稜にC2を設置。

 

 

C3へ。傾斜70度の雪壁をトラバースしていよいよルート最難関の大岩壁を登る。

 

 

氷が薄く支点がとれない岩壁。そして天候悪化。

 

 

10時間の行動を経て疲労困憊でC3に到着。チリ雪崩がテントに降り注ぐ過去最悪の一夜(平出談)を過ごす。それに比べて中島さんは幾分元気な印象。

 

 

降雪で一日停滞。雪と風が猛威を奮う6850mの世界に監禁。心身ともに限界が近づく。

 

 

5日目、いよいよサミットプッシュ。しかし雪と風の壁が容赦ない。

 

 

酸素濃度は平地の4割、7,000mを越えてのラッセル作業で疲労はピークに。生きて還れないかもしれない不安に押しつぶされそうになる。

 

 

「これまでやってきた登山の中でいちばん辛い」

 

「足が…止まって動かない」

 

 

そしてシスパーレの頂へ。

 

 

8月22日14時30分、登頂成功。胸に忍ばせていた1枚の写真を取り出す。

 

 

前回ともにシスパーレに挑戦したパートナーの谷口けいさん。本来であればこの頂上で横にいたであろう人ですが、2015年黒岳で滑落して帰らぬ人に。

 

 

「三人で登ってるんじゃないかという感覚があって」

 

「僕がフラフラになっているのを支えてくれたのがけいさんだったのかな」

 

 

初挑戦から15年、三度目の正直ならぬ四度目のシスパーレ。平出和也さん、中島健郎さん、お疲れ様でした。番組を見逃した方にはこちらを。平出和也さんが登頂の模様をUPしています。(※画像はすべてこちらの動画から引用させて頂きました)

 

 

 

シスパーレを乗り越えた平出さんの次なる一歩が楽しみです。

 

 


2 Responses

  • 深夜の仕事、今夜はナースコールが無い。BSのテレビを付けた、美しき山の映像か?暫く見ていると、何だこの人達は?画面に釘付けになる。とてつもない山頂を目指している。最後まで見て涙が溢れた。グレイトトラバースのカメラマンさん?なの?田中陽気は1人で登ってないよね、と気付く迄時間がかかった。だって誰が陽気さんを撮っているの?陽気さんより前を行く健脚なフットワークだから。やっと謎が解け他、この人か!!自宅でタブレット検索して、凄い人やな。私の心臓をわし摑みした、そして惚れました。また、感動の涙、号泣が止まらない。

  • 前回のコメントで訂正あり、[陽気さん]ではなく[陽希さん]でした、号泣の原因、19歳の時、ヒマラヤ登頂に挑んだ先輩が、雪崩に遭遇帰らぬ人に。谷口佳さんと重なり喜びと悲しみが 一気に私を襲いました。私今65歳。何年も前のこと、忘れていた涙が溢れました。山男だった彼を、応援してあげられず亡くしてしまった後悔は、こんな年齢になっても引きづっていたのです。平出さんの放送を見て、人生やり直したい。彼と一緒に生きる覚悟です。[娘さん 良く聞い~けよ 山男に惚れるなよ] と言われていた時代がありました。人生はまだまだ続く。

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