東京オリンピックマラソン代表を決めるレース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」がいよいよ2日後に迫りました。男女とも1,2位が東京オリンピック代表に内定する一発勝負の人生を賭けたレース。条件を満たした者だけが出場できる日本マラソン界の頂上決戦です。

 

スタートとフィニッシュが明治神宮外苑から新国立競技場に変更になるもののそれ以外は東京オリンピックのコースと同じ。オリンピックで戦える選手を選ぶには格好の機会です。

折返しが多い分スピードは出ませんが、道中はほぼフラット、勝負どころは36km過ぎから続く登り。と、わかりやすいコース設定。レースはスローペースで推移し勝負は最終盤に持ち込まれることが予想されます。

 

31人で争われる男子は大所帯な分、力の差は明確、大きな番狂わせはないと予想。大迫傑選手、設楽悠太選手、井上大仁選手、から1〜2名、そこに食い込むのは服部勇馬、佐藤悠基選手の両名か。この中から「暑さ」と「東京」を味方につけた者が勝つ。町田市出身早稲田大卒の大迫選手は東京に地の利あり。ただ暑さへの対応力を証明済みなのはジャカルタで開催されたアジア大会でマラソン金メダルを獲得した井上選手。クレバーさとド根性を兼ね備える服部勇馬選手も優勝した福岡国際では高い気温の中で外国人をちぎる圧巻の走りを見せた。実業団所属の選手は大応援団を味方につけるであろうから、東京もさしてアウェイではないはず。男子は井上、服部を1〜2位と予想。個人的には超スローペースの末にラストのいちょう並木で抜け出す佐藤悠基選手のスピードと意地が見たい。

 

 

さて本題は女子。日本のトップ中のトップがエントリーした濃密な12名による争いだけにチャンスは誰にでもある。ましてやコンディション調整の難しい女子だから予想も難しい。男子に比べマラソン経験が少ない選手も多く、「暑さ」、「東京」に加えて「調整力」「経験値」もレースを占う鍵となる。今回は注目する7人に絞りその中からオリンピック出場権を勝ち取る選手を予想してみます。

 

鈴木亜由子 2:28:32(2018.8 北海道マラソン)

心技体すべてを持ち合わせる日本女子長距離界のトップランナー、東京を本拠地とするJP日本郵政所属、優勝候補筆頭。2018年8月の北海道マラソンを初マラソンで優勝、マラソンへの対応力と暑さへの強さを同時に証明した。集団でも単独でもあらゆるレース展開に対応できるオールラウンダー。仕掛けのタイミングとライバル達への反応が本レースのポイント。JP日本郵政高橋監督がマネジメントしているのも強み、入念に練られたレースプランを託すはず。6月の日本選手権10,000mではマジな走りで好調さを知らしめる。絶好調でなくてもいい、故障なく走りきればオリンピックは確定。

 

 

一山麻緒 2:24:33(2019.3 東京マラソン)

初マラソンは2019年東京、マラソン挑戦から最短距離で駆け抜けきた若手有望株。これまで駅伝で披露してきた強気なメンタリティーは大舞台にこそふさわしい。所属のワコールからは福士、安藤もエントリーしている為、末っ子感覚でレースに望めるのも大きなアドバンテージ。2018年シーズンはやや不調な時期もあったが今は完全復活、1時間8分49秒で優勝した函館ハーフを見る限り仕上がり万全か。駅伝では1区を得意とするなど集団走に強いだけにレース序盤から中盤までの位置どりが重要。ペースメーカーのいない本大会では先頭を引かされすぎないよう注意したい。

 

 

松田瑞生 2:22:23(2018.9 ベルリンマラソン)

鍛え抜かれた腹筋とハートで走る。スピード持久力の高さはトップクラス、身体能力で走るタイプの選手なので調整万全なら優勝。ただ一直線ゆえ対応力に脆さあり、レースプランにはない予想外のアクシデントに平常心でいられるかがポイント。2017年〜18年の無双状態に比べると最近はやや好不調の波がある、6月の日本選手権10,000mではライバルたちに差をつけられ10位に沈んだのも気になる所。感情の起伏を最小限にするためにもトップ集団の二列目について最後まで様子を見る我慢のレースが予想される。他を寄せ付けない圧倒的な集中力で前を向く、あの自信が蘇れば自ずとオリンピックへの道が開かれる。

 

 

上原美幸 2:24:19(2019.3 名古屋ウィメンズマラソン)

2016年リオ五輪5000m代表。小さな身体で強気の走り、靭やかでいて力強い、高い潜在能力の持ち主。マラソン経験は少ないながらMGC出場を間に合わせたのはさすが。本大会のダークホース的な存在。大舞台にも臆すること無い無邪気なハートでライバルたちのプランをかき乱す。ただ100%の脚づくりができたかと言えば少し時間が足りなかった感も否めない。失速してしまった昨年のクイーンズ駅伝は糧となっているか。第一生命所属、あの山下監督だけに秘策が気になる、それとも無い?ライバル松田選手とのバッチバチの同級生対決も見どころ。正直、東京がダメでも次が狙える逸材でもある。

 

 

福士加代子 2:22:17(2016.1 大阪国際女子マラソン)

今年37歳、日本陸上界のレジェンド。ひとまわり以上違う選手と未だに日本のトップを争う事自体が凄すぎるほど凄い。リオ五輪マラソン代表をはじめ過去4回経験しているオリンピック、他を圧倒する経験値をレース本番で活かせるか。リオ後に休養したのち華麗に復活、駅伝でも好走し、MGCもギリギリで獲得するあたりはさすが。ベテランだけにコンディショニングがポイントとなるが、そこは長年二人三脚で歩んできたワコール永山監督の存在が大きい、きっちり仕上げてくるはず。削り合いになれば強さを見せるベテランは、本番でもワンチャンあり。若さだけがマラソンじゃない!陸上人生の集大成の走りで教えて欲しい。

 

 

前田彩里 2:22:48( 2015.3 名古屋ウィメンズマラソン )

2015年に22分台を出してからは故障のため長らく万全ではなかったが、昨年復調、MGC出場に間に合う。故障さえなければリオ五輪に出場していたであろう、美しいフォームで大崩れしないロード適正抜群のランナー。2018年北海道マラソン2位、暑さも経験済み。調子のバロメーターは体重にあり、9月15日当日に身体が絞れていれば優勝争いに絡む可能性は充分にある。冷静な鬼ピッチ走法が炸裂すれば40km過ぎの最終盤で上位を食う。

 

 

前田穂南 2:23:48(2018.1 大阪国際女子マラソン)

強さよりもしなやかさ。力感のない省エネ走法は夏のマラソンには吉か。北海道マラソン2017年優勝。スピードに恵まれていない分、距離を積む才能に秀でた、これぞマラソン向きで、これぞ天満屋な選手。終盤までは集団後方で脚を残す展開になればチャンス、仕掛け合いの末に疲弊した上位陣をひとりひとり捕らえて2位〜3位に滑り込む展開もなくはない。優勝を狙うトップ選手に比べて力は一歩劣るが、ここぞの選考会に強い天満屋だけにあなどれない存在。

 

注目の7選手を駆け足でご紹介しましたが、もちろん他の5選手も強いのです。この中から勝者を選ぶのは本当に難しい、誰が勝ってもおかしくないし、誰が負けてもおかしくない。ポイントは2位をどう争うか。実力者揃いなだけに落ちてきた人を拾って勝てるようなサバイバルレースにはなりにくい、最後は勝負した人がオリンピックを掴む。

 

優勝は鈴木亜由子、2位一山麻緒、3位松田瑞生と予想。選手のみなさんにはベストを尽くしてゴールまで駆け抜けて欲しい。誰がオリンピックを走っても誰もゴチャゴチャ言う必要のない素晴らしいレースになりますように。東京オリンピックでハッピーエンドを迎えられますように。

 

 

 


13 Responses

  • 欠場選手が意外に少ないですね。
    これまでの主要マラソン大会では、エントリーしていながらも欠場する実業団のトップ選手が結構いましたけどね。
     
    全員が全員、ベストコンディションで当日を迎えられるというわけにはいかないと思うのですが・・・
    もしかしたら本来出場できないほどの故障もしくは体調不良を抱えている選手がいるかもしれません。
     
    こんな千載一遇の大舞台だから「這ってでも出る」気概のでいるのかもしれませんが、酷暑の42.195km、無理して欲しくはないですね。
    ここを欠場してもオリンピックへの道は完全に絶たれるわけではないですし、東京オリンピックが終わってもマラソンは続いていくわけですし・・・
     
    勿論これは「本人の意思」が最優先なのでしょうが、難しい問題ですね・・・

  • そうですね、MGCのために続けてきた選手もいるでしょうから、多少の無理は承知でみなさん出場されるでしょうね。きっとこの大会を競技生活の集大成と位置づけている人もいらっしゃるでしょうし。

    マラソンは42kmも走って勝者はひとりって残酷な競技ですが、歴史的なこの大会を走れるだけで凄いんで、あとは悔いのないようにゴールして欲しいです。

  • ダイハツの前田さんそしてjpの関根さんは棄権です。いつでも出てくるワコールの加代さん一山さんはえらいです。一山さんがどんどん先に行けばよいと思います。いずれ18分台で走れます。五輪の代表にこだわることはないです。目に見えない疲れがあれば次の機会を狙えばよいです。

  • ほんと、ワコールって調整がうまいのですかね。条件は厳しいけどいいチームなのかも。

    一山さんをはじめ今回出ている人のほとんどは4年後も狙える人たちですもんね。東京がゴールではないし。18分台はぜひ見てみたいです。

  • 世間では大迫・設楽・井上・服部の4人が「4強」とされてますが、暑さに強く経験値もある中本・今井・岡本・園田の4人を「裏4強」と見ています!

  • サバイバルレースになってベテラン勢が活躍する展開になったら面白いですね。この時期に東京でマラソンするなんて初めてのことですから、何が起こってもおかしくないですし。でも、それを許さないくらいに大迫、設楽はスピード勝負をするのか、楽しみです。

  • 大塚・竹ノ内・鈴木健とベストがサブテンではない選手が「あわや代表か!?」と思わせるレースをしてくれましたね。
    やはり夏のレース、そして一発勝負ならではの展開だったということなんでしょうね。

  • 天満屋の前田さんが勝ちました。いくだろうと思つてました。タイムが悪いのは暑いせいか。一山さんがもつと上に行くと思つてました。目に見えないくたびれがありました。加代さんも同じです。

  • 夏への強さを発揮した選手が活躍しましたね。特に大塚選手は箱根5区を彷彿とさせる活躍でした。マラソン練習、女子は天満屋、男子は富士通が距離を踏むのでしょうかね〜。

    女子は前半ハイペースで後半は単独走の消耗戦になってしまい、見ていてもキツくなるレースでしたね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。