2018年7月19日衝撃の発表がありました。

 

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は19日、昨年11月の第37回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(日本実業団陸上競技連合主催、毎日新聞社、TBSなど共催)で、優勝したユニバーサルエンターテインメントの選手(当時)にドーピング違反があり、1年3カ月の資格停止処分を科したと発表した。これを受け、同連合はユニバーサルエンターテインメントの優勝を取り消し、繰り上がりで2位・パナソニックの初優勝が決まった。(毎日新聞)

 

昨年のクイーンズ駅伝を制したユニバーサルエンターテインメントの5区を区間2位で好走した中村萌乃さん(昨年度で引退)がレース2ヶ月前に医療機関で受けた術後の注射で筋肉増強効果のある禁止薬物メテノロンを摂取してしまいました。婦人科系の疾患であるゆえ病気のことをチームに報告せず、また医師にも競技者である旨を伝えていなかったそうです。

 

中村さんに禁止薬物を摂取している自覚はなかったにせよ報告を怠ったのは競技者としての意識が足りないと言わざるをえません。しかしながら、誰にも伝えられない病気のことを胸にしまい人知れず通院しながら競技を続けていらした状況は、心中察するに余りあります。幻となってしまった優勝も重要区間の5区を任された中村さんの走りがなければありえなかったわけですし。

 

ユニバーサルエンターテインメントから発表された公式コメントでも言及されていますが、女性アスリートチームにも関わらず監督、コーチをはじめとしたスタッフのすべてが男性であることも今回の事態を招いた一因ではないでしょうか。選手の身体を管理する方々には心も含めてお願いしたいところです。大半のチームには女性スタッフがおられます、このような悲劇が繰り返されないことを願うばかりです。

 

この件によりユニバーサルエンターテインメントは1年3ヶ月の出場停止処分を受けています。ただし再発防止策が確認できれば処分の解除もありえますので、ユニバーサルエンターテインメントの選手の為に、そして中村萌乃さんの為にも10月のプリンセス駅伝のスタートラインに立てるようチーム関係者の皆様の迅速な動きを期待したいです。

 

ユニバーサルエンターテインメント並びに中村萌乃さんのコメントはこちら。

コメント全文(外部サイト)

 

 

さて本題です。早いものでトラックシーズンが終わり各チームは秋冬の駅伝シーズンに向けて束の間のオフを経て夏の合宿に入ります。ここからはマラソン組と駅伝組に別れてしのぎを削る大切な時期、各チームのレース戦略にも注目です。前回のクイーンズ駅伝2018展望では優勝争いを演じるであろうクイーンズエイトの8チームの現況を見ていきましたが、今回は昨年9位以下のチームで上位進出が期待できる6チームを取り上げてみます。

 

クイーンズ駅伝2017 クイーンズエイト以外の有力チーム

※ユニバーサルエンターテインメントの失格により、9位の豊田自動織機が繰り上げで予選会免除のクイーンズエイト入りとなりました。

8位 豊田自動織機(2時間20分00秒)
┃2017年オーダー

菅野七虹─籔下明音─福田有以─アンカリンジ─沼田未知─林田みさき

 

┃2018年新加入

ヘレンエカラレ(仙台育英高校)

昨年の予選会の優勝チーム、本戦のクイーンズ駅伝では序盤の遅れが響いて惜しくも9位でしたが、ユニバの失格により繰り上げクイーンズエイト入り。予選会免除はかなりのアドバンテージをもたらしてくれるはず。チームのエースであった横江里沙さんが大塚製薬に移籍しましたが、昨年はエントリー外だったこともありマイナスは無し。新戦力は意外にも外国人ランナー一名のみ仙台育英のエカラレさん、アンカリンジさんの後継を早くもと言ったところでしょうか。そして明るい材料は何と言っても萩原歩美さんの復調、ホクレンDCでの走りは見事でした。この状態を維持すれば準エース区間の5区を任せられそう。3,4,6区が計算できるチームだけに1〜2区で区間一桁につければ確実に5位以内に入れる布陣。

 

9位 九電工(2時間20分32秒)
┃2017年オーダー

逸木和香菜─安達佳歩─加藤岬─M.ワイディラ─芦麻生─陣内綾子

 

┃2018年新加入

唐沢ゆり(日本体育大学)

林田美咲(北九州市立高校)

2013年から入賞が指定席だった九電工も昨年は5年ぶりに入賞圏外の9位に。エース加藤岬さんと4区のインターナショナル区間で稼ぐ展開もそろそろ限界か。陣内さんのスピードと芦さんのロードの強さを活かせる展開になればクイーンズエイト入りもありえる。もちろん新人の唐沢さんや二年目の逸木さんらの大卒勢が戦力として計算できなければ苦しい。しかも加藤さんはマラソンを中心に取り組むことが予想される為、その状況をチームとしてカバーできるかがポイント。駅伝で実績のある選手を抱える九電工はトラックの成績が当てにならないところが強さ、今年も気づいたら入賞争いを繰り広げている!?

 

10位 積水化学(2時間20分53秒)
┃2017年オーダー

森智香子─佐藤早也伽─松崎璃子─尾西美咲─桑原彩─中舍朱音

 

┃2018年新加入

和田優香里(立命館大学)

野村蒼(神島高校)

髙野みなみ(埼玉栄高校)

個人的には入賞間違いなしと見ていた積水化学にとって2017年は失敗レース。今年は大黒柱の尾西さんと5区区間2位と好走した桑原さんが引退された大きすぎる穴を埋められるかが上位進出の鍵。5区はルーキーの和田さん、又は2年目の佐藤さん、湯澤さんの争いか。エースの松崎さんは日本代表クラスのスピードはあるがロードには合わない印象。やはりマラソンもこなし長い距離を安心して任せられる桑原さんの存在は大きく今年の躍進は厳しいか。個人的には他チームでの復帰を期待していますが、どうでしょう?ここ数年でメンバーがガラリと変わったチームだけに若手の奮起に期待。

 

11位 京セラ(2時間21分52秒)
┃2017年オーダー

松田杏奈─戸田真由香─藤本彩夏─藤田理恵─堀口あずき─古瀬麻美

 

┃2018年新加入

なし

退部者ゼロ、新加入ゼロ、京セラの濃密な育成力が今年は実を結ぶ気配。山ノ内みなみさんが今季PB連発、日本選手権5,000mで3位に入るなど充実のシーズン。長い距離にも適正を感じられるので今年はエースとしてチームを引っ張れるか。昨年1区の松田さん、5区堀口さんをはじめ着実に力をつけている選手も多く、全体的にロードを得意とするタフなランナーが揃っている印象。今年はクイーンズエイトに手が届く戦力に仕上がっていると思います。しいて弱点をあげるなら2区と4区のスピード区間では上位チームに比べてやや分が悪いか。それにしても今年の京セラには注目です。

 

12位 デンソー(2時間22分14秒)
┃2017年オーダー

小泉直子─荘司麻衣─橋本奈海─光延友希─水口侑子─岡未友紀

 

┃2018年新加入

矢田みくに(ルーテル学院高等学校)

森林未来(諫早高等学校)

松本亜子(大牟田高等学校)

ゼイトナフーサン(エチオピア)

2013年から3連覇を成し遂げたかつての女王も近年は新陳代謝が加速し、若手中心のメンバー編成となりました。あれほど強かったチームからあれほど退部者が出るのは何故だろう?それもまた駅伝の面白さですが。今年は莊司&倉岡の両名がポテンシャル通りの力を駅伝で披露するところが見たい。昨年エース区間を走った橋本さんが三井住友海上へ移籍、アンカーが定位置だった岡さんが退部した穴は小さくなく、新加入のいずれも高卒ルーキーの4人で埋められるか?みなさん将来有望、デンソーの新たな黄金期を築いて欲しい人材。ベテラン水口さんに3区を任せてしまうようではマズイ。かつての栄光を知る小泉さんの奮起に期待したいが、デンソーにとって今年は育成の年となってしまうのか。

 

13位 三井住友海上(2時間23分28秒)
┃2017年オーダー

田邉美咲─野田沙織─岡本春美─中島葵─野添佑莉─溝江愛花

 

┃2018年新加入

橋本奈海(デンソー)

片貝洋美(しまむら)

関口はるか(川崎市立橘高校)

飯塚響(白鷗大学足利高校)

春野麻友(西京高校)

古寺冴佳(学校法人石川高校)

鈴木颯夏(常葉大学附属菊川高校)

駅伝は個々の走力の積算ではなくチーム力、チームの和も成績に多大な影響を及ぼすと思うのです。そういった意味でも近年、選手の出入りが激しい三井住友海上は駅伝においてはすっかり弱体化した印象です。その辺は選手というよりも体制に問題があるのでは?なんて勘ぐってしまいます、もちろんいちファンの妄想ですが。現役を引退されていない渋井さんのチーム内でのポジションも気になります、お元気でしょうか。エース格であった野田沙織さんの移籍は痛いっちゃ痛いのですが、ネガティブな話題を一掃するかのように今年は一挙7名の新戦力が加入、経験豊富な二人の移籍組と全国の舞台を知る五人の高校生、これはNEW三井住友海上が生まれる気配。持ちタイムだけで考えればプリンセス駅伝はかなり上位でフィニッシュするはず。ただしチームの和が乱れていなければ、ですが。

 

最後に6チームの2017年クイーンズ駅伝の順位変動はこちら。

(引用:http://www.tbs.co.jp/ekiden/

 

以上、クイーンズエイトを狙える6チームのご紹介でした。繰り上げ8位となった豊田自動織機以外は予選会(プリンセス駅伝)からのスタートとなりますが、ここでご紹介したチームに予選落ちはまずないでしょう。本戦のクイーンズ駅伝では京セラが上位陣を食うのか、デンソーと三井住友海上の高校生ルーキーが輝きを見せるのか、たくさんの見どころはあります。一昨年のタスキ渡し失格や先のドーピング違反など近年は寂しいニュースが話題となってしまいましたので、今年はレース結果が最も盛り上がりを見せる展開に期待したいと思います。次回は夏の終わりにプリンセス駅伝の順位予想をして参りますのでどうぞよろしくお願いします。

 

クイーンズ駅伝2018順位予想はこちら。

 

クイーンズ駅伝2018展望Vol.1〜クイーンズエイト篇〜はこちら。

 

 


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