ランニングへのモチベーションを維持する方法として「ランニングアイテムを定期的に購入する」がございます。お金をかけると引くに引けなくなりますし、好きなものを身につける喜びはいくつになれど心踊らせ身体を前向きにしてくれます。
ランニング歴8年目のぼくもしばしば訪れるランニング倦怠期をこの方法で脱してきました。それまでよりソールの薄いシューズを、憧れだったゲイターを、ランニング専門誌が絶賛していたウェストポーチを、ランニングに嫌気が差しかけるタイミングで新しいアイテムを身に着けてここまで走り続けて来ました。
しかしながらランニングアイテムがランナーにもたらす恩恵は、実際に身に着けて走らなければわかりません。良かれと思い購入したアイテムもいざ使用してみるとその必要のなさに驚かされたり身体に合わなかったりで無駄になるものも少なくないのです。ランニングはお金のかからない趣味と言われますが、ランニングアイテムは決して安価ではありません。そこで今回はこれまで購入したランニングアイテムを振り返り、役立ったもの役に立たなかったものをまとめてみたいと思います。
┃ランニングシューズ |
ランニングシューズは足の形や走力に大きく左右されますので、お気に入りのメーカーを決めたら一足目は専門店で店員さんに最適なモデルを選んでもらうのがよろしかろうと思います。経験上、月間150kmを痛みなく走れる脚ができるまではソールが厚く足を保護してくれるシューズの方が怪我予防になりますのでおすすめです。
ただし、好みのカラーリングやデザインでないと大幅にモチベーションが下がり、走りに多大な影響を及ぼしてしまう恐れあるので注意が必要です。数年前のある秋の日、ランニング専門店にて水色が美しい“asicsスカイセンサー”が欲しいぼくとくすんだ黄色の“asicsゲルフェザー”を薦める店員さんとで丁々発止のせめぎ合いを繰り広げ、泣く泣く“asicsゲルフェザー”を購入したことがあったのですが、しばらくはランニングが苦痛で仕方ありませんでした。10kmのジョギングを8kmでやめてしまう日もありました。ランニングはつくづく「気力」ということです。店員さんと意見が合わない場合は“退店する”も選択肢のひとつです。
ランニングシューズの履き替え時に関しても個人差がございますが、いま履いているasicsターサージールならおおよそ600km〜で履き替えを検討します。ただしソールのクッション性能がなくなると通常時とは違う脚への疲労を感じますので、そうなると美しい見た目であろうが終了です。しかしながら1万円以上もするシューズを簡単に捨てるのは忍びないのでしばらくは雨の日ランニング用として余生を過ごすことになります。
┃ランニングウェア |
ランニングウェアは季節や目的に応じて多種多様なコーディネイトが考えられますのでランニングウェアとひと言で括れど最適なものを取捨選択するには時間とお金を要します。
最近はAmazonが便利過ぎることもありランニングウェアもほとんどネットで購入しています。全情報を写真から読み取らなければならないので、手に取ると思ったよりペラペラじゃん、乳首透けるじゃん、色違うじゃん、なんて失敗も多々ございますので、着るものは路面店に足をお運びになるのがよろしいかと思います。
暑い季節なら半袖とランパンだけでも走り出せますが、冬はそんなわけにはいきません。防寒用にウィンドブレーカーなどのジャケットが必要になります。これらの最新モデルがまた高い。“ジャージって安いもの”そんな先入観がそう思わせるのでしょうが、上下で二万円を越えてくると尻込みます。思わず5千円以下の廉価版に手を伸ばして、そのチャチさとダサさに猛烈な後悔を抱くことになるのです。どんなものにも言えることですが「高いものはお洒落」を身体で覚えさせられます。安い上着を3着買うつもりで高いものを1着買った方がお得です。ただし1着をヘビーローテーションするとポケットが破れやすいので家のキーを入れる際はハンカチに包むなどの対策をお忘れなく。
トータルでカラーコーディネイトするならシューズもウェアも同一メーカーのものをお選びになる方が間違いが起こりにくいと思います。asicsの蛍光イエローとNIKEの蛍光イエローとでは同じ蛍光イエローでも微妙に異なり、その微妙な違和感が悪目立ちしてしまうことも。ただしシンプルなデザインのウェアならメーカーの枠を越えてコーディネイトしやすいはずです。
●ランニングウェア
夏モデルは乳首が透けやすい。柔軟剤を多用すると寿命が縮む。
同じLでもメーカーごとにサイズ感違いすぎ。
同じLでもデザインごとにサイズ感違いすぎ。
●ランニングパンツ
お洒落重視のものはポケットが少ない。お洒落重視のものは細身でストレッチしにくい。
ポケットに鍵を入れていると破れやすいのでハンカチに包むなどの対策を。
●ウィンドブレーカー(ジャケット系)
値段が高めの方が圧倒的に長持ち。値段が高めの方が圧倒的にお洒落。
胸ポケットがあるとスマホ入れに便利。
┃ロングタイツ(コンプレッションウェア) |
(引用:http://www.cw-x.jp)
コンプレッションウェアは着圧によって筋肉や関節にかかるダメージを軽減したり、血行促進によるリカバリー効果が期待できる“ピチピチのタイツ”のことです。見た目は同じでもスパッツとは異なるので値段もお高め。はじめて脚を通したのが1万5千円ほどのCW-Xのロングタイツ、ランニングをはじめて半年ほど経った頃でした。
このコンプレッションウェア、果たして購入するだけの価値はあるのでしょうか?効果が目に見えにくいので、意見が分かれるところだと思います。ぼくはと言えば20kmを少し余力を残して走れるようになったタイミングで、1.疲労の軽減、2.怪我の予防、3.履いているといかにもランナーっぽく見えるから、という3つの理由と引き換えに購入しました。なにせ1万5千円もするので理由がひとつだけでは心もとない。
では、その3つの理由に対してCW-Xのロングタイツは期待通りの働きをしてくれたのでしょうか?
まず、「疲労の軽減」に関しては一定の効果があるように思われます。慣れないうちは脚を通すのにもひと苦労のピッチピチ具合ですので、股下からふくらはぎに至るまで筋肉をホールドする力はハードです。そのタイトさが着地時の筋肉の揺れを軽減してくれて余分なエネルギーを使うことなく効率よく推進力を得られるイメージがありました。
次に「怪我の予防」。こればかりは購入していない自分と比較することはできませんので、結論づけるのは難しいのですが、走りに安定感をもたらしてくれる分、未然に防いだ痛みはあると思います。特に膝関節のサポートは膝に不安を抱えているランナーには心強い味方。精神面に左右されやすいランニングでは不安を軽減することも大切な要素となりますので、お守り感覚で着用するだけでも効果はあると思います。
3つ目の「履いているといかにもランナーっぽく見えるから」の為だけでしたらコンプレッションウェアよりもスパッツの方がよろしいです。お手頃価格でお洒落なデザインが豊富に揃うのがスパッツの魅力でもあります。ただしド派手なスパッツがお洒落に見えるのはお店の中まで、日常のランニングシーンでは間違いなく浮きます。古くは全日本プロレスにおける天龍革命の際に着用した川田利明選手のロングタイツなみに浮きます。(詳しくは「フットルース 川田利明」で画像検索)
購入当初はコンプレッションウェアの効果効能に半信半疑のまま走り出しましたが、こうして改めて振り返ると1万5千円の価値は十二分にあったと思います。もう6年ほど経過しましたが、多少の緩さは生じたにせよ今でも真冬のLSDで着用するくらい丈夫で長生きしています。ランニングを週に2回以上される方にはおすすめしたいアイテムです。お酒の席を3回我慢すれば買えますから。もちろん初めから脚に自信のある方には無用の長物です。筋肉の鎧で覆われたエリートランナーでロングタイツを常用されている方はおられないのではないでしょうか。
┃ふくらはぎサポーター |
(引用:https://www.zamst-online.jp)
そんなロングタイツともお別れの時がやってきます。スピードを重視する練習にはロングタイツは動きの妨げになると気づいてしまうのです。そしてそれと入れ替わるように目に飛び込んでくるのがふくらはぎのサポーター。ロングタイツに比べてかなり軽装でいかにも速く走れそうな見た目に惹かれます。
これまで購入したふくらはぎサポーターはこちらの3種類。ZAMSTのカーフスリーブ、C3fitのゲイター、SKINSのカーフタイツ。呼称がメーカーごとに違うことでもおわかりのように、このアイテムの効果は極めて曖昧であります。売り文句はロングタイツのそれと同じ、「疲労につながる筋肉の無駄な揺れを抑える」。異なるのはサポートしている部位がふくらはぎのみということ。果たしてこれがランニングにどのような影響を与えるのでしょうか?
実際に装着してみると、ふくらはぎをギュッとサポートしてくれる安心感はあります。筋肉がぶれない気持ち良さもあります。ただそれが走り自体をサポートするかと言うと、ふくらはぎサポーターにそこまで過度の期待をしてはいけないということです。(過度な期待をすると3つも購入することになります)そこまでの期待をしなければ充分に使用する価値はあると思います。第二の心臓の異名をとるふくらはぎをケアすることにマイナス面はございません。
ZAMSTのカーフスリーブ
(引用:https://www.zamst-online.jp)
3つの中で最も着圧がきつかったのがZAMSTのカーフスリーブ。それだけに“効いている感”が得られました。走り終えたあとに血行を促すリカバリー用として履いた方が効果が期待できる気もします。
C3fitのゲイター
(引用:http://www.goldwin.co.jp/c3fit/)
C3fitのゲイターはやさしい肌触りで着圧も控えめなので家事や仕事など脚のむくみが気になる方が日常生活で使用されるには良いかもしれません。
SKINSのカーフタイツ
(引用:http://www.skins-jp.com)
SKINSのカーフタイツは優しすぎず絞めすぎず程よい着圧具合なのでレース本番ではこちらを使用しています。
ふくらはぎサポーターは関節に負荷がかからないので気軽に装着できます。見た目のファッション性もよろしいので、ランニングウェアのコーディネイトの一環に、はたまた寒い日にはレッグウォーマー感覚で使用するのも一興かと存じます。
┃キャップ |
最近ではオリンピック代表のマラソンランナーも暑さ対策としてキャップ姿で走る光景を目にしますが、髪の毛の量が多いぼくには逆に暑くて不向き。蒸し暑くて被っていられませんし、多すぎる毛量でキャップが押し上げられ少々の風でも吹き飛ばされてしまいます。キャップがダメならサンバイザーならどうだろう?こちらも試してみましたがサングラスと併用すると視界が狭くて走りにくい…。昨今、夏場の熱中症対策としてキャップが推奨されておりますが、あきらかに毛量の多い方には不向きと思われます。あまりに役立たない為どちらも実家のタンスに埋葬されました。
┃GPSランニングウォッチ |
それまでは公園の周回コースを何周したかで走行距離を計算していましたが、GPS機能付きランニングウォッチを購入してランニング生活が激変しました。どこをどう走ってもランニングウォッチがきちんと距離と速さを計測してくれるのです。その日を境に公園をグルグルしなくてもいい自由の身となりました。これはエラく画期的な事件で、ランニングに対するモチベーションが俄然高まりを見せたのをありありと覚えています。
これまで2本所有しましたが、いずれもガーミンです。当時はGPS機能付きランニングウォッチと言えばガーミン一強でしたし、世界的に有名なブランドという事もあり他に選択の余地はありませんでした。はじめて購入したのはForeAthlete 210。その能力に驚かされた反面、なかなかGPSが繋がらずランニングを開始できないことも多々ありイライラしたものです。不具合も多く何度か故障と修理を繰り返し、三年目のある日突然寿命を迎えました。
現在はその後継機ForeAthlete 220Jを4年ほど使用していますが、以前のような脆さもなくGPSにも素早く接続してくれるので快適、フルマラソンレベルで使用するなら申し分ないランニングウォッチです。ただ何の不自由もなく使用すること3年目、ブチッとバンドが切れました。正規品の交換用バンドを購入したいところですが、あまりに高額でしたのでAmazonで検索してみるとあるではないですか、怪しい中国製の交換バンドが。背に腹はかえられぬってことで800円でゲット。「まぁバンドなんて何でもいいだろう」そんな甘い考えは商品開封後に打ち砕かれます。そのバンドから立ち昇る強烈なゴム臭!なんというか…ゴムと化学薬品を混ざたような異臭、もれなく身体に悪そうな匂い。800円の安さが重くのしかかります。ヤバイ、こんなものを腕に巻いたら皮膚科に通うことになるかもしれない。何度も何度も洗いました、でも、落ちない匂い…。しかたなく目をつむり、鼻をつまんで使用しましたが、一ヶ月を過ぎた頃、匂いはすっかりとれていました。皮膚科にお世話になることもなく。
ガーミンに限らず最近は日本のメーカーからも数多くラインナップされているGPS機能付きランニングウォッチ、これからランニングをはじめる方に最もおすすめしたいランニングアイテムのひとつです。
┃サングラス |
GPS機能付きランニングウォッチと共にランニングの景色を一変させてくれたのがサングラスです。陽射し、紫外線はもちろん、浮遊する虫たち、風に舞う土埃などからも目を保護してくれる優れもの。しかも集中力を高めてくれる効果もございます。
ただ…「サングラスなんてしているとイキってるように見られない?」なんて心配をなさる方も少なくないと思います。ご安心ください、そんな方におすすめのサングラスがございます。その名も、高橋尚子監修サングラス「Running with Q」。メガネ屋さんのZoffから発売されているランニング専用のサングラスです。これが商品名とは裏腹にデザインもカラーリングも極めてシンプルで且つ装置感も心地良く顔にフィットする逸品。お値段も一流メーカーの半額以下、おすすめしない理由が見つかりません。さすがQちゃん、さすがZoff。どちらを褒めるべきか困るくらいの仕上がりです。もう5年あまり装着し続けていますが、これまで一度たりともイキっていると思われたことはございません。
┃ランニングバックパック |
(引用:https://www.amazon.co.jp/)
ランニングを始めて一年もすれば自ずと視界に入るのがフルマラソンへの挑戦です。そうなると必要になるのがランニング中にドリンクや荷物を携行できるランニング用のバックパック。LSDをはじめとした長距離を走る練習には欠かせないアイテムです。
当時はバックパックを背負いながら走るイメージが湧かなかったこともあり、まず目をつけたのがランニング雑誌で絶賛されていたULTIMATE DIRECTIONのボトル付きウエストポーチ。身体に密着してランニング中も上下動しないとの触れ込みでした。海外メーカーならではのシンプルでクールなデザインも手伝って即買い。これでもう脱水の心配もありません。800mlの専用ボトルにスポーツドリンクを入れて、期待を胸にいざ走り出すと一歩目から驚かされました。物凄い上下動です、ゆさゆさとボトルが揺れています。
そんなはずがありはしないと、ベルトの長さ、装着する位置、ランニングウエアの素材、考えられる対策をすべて施しましたが、ボトルの揺れは収まりません。よほど体型に合わないのだろうとウエストポーチを断念し、代わりに選ばれたのがランニングバックパックというわけです。購入したのはasicsの最も小さいサイズのものでした。
ボトルホルダーは500mlペットボトル専用。容量こそ多くありませんが、電話、家の鍵、上着、財布など生きる上での必須アイテムは入ります。何よりまるで揺れません。おかげで無事に30km走を完走し、フルマラソンへの道が拓かれたわけです。休日にランニングバッグパック姿のランナーとすれ違うと妙な親近感を覚えるのはランニングあるあるでしょうか。
┃その他の小物 |
たかが靴下、三足980円でいいなんて、あなどってはなりません。ランニングソックスの材質、形状の違いが走りに及ぼす影響は少なくないのです。走りの感覚に応じたソックスを身につけなければなりませんが、着地の衝撃で爪が指を傷つけてしまう方は、それぞれの指を保護できる5本指ソックスをおすすめします。地面を捕らえる感覚もございますので走りやすさも◎。ただ、ランニングソックス選びで最も大切なことは1,000円以下のランニングソックスは一瞬で穴が空くということです。高い!と思われても1,500円以上のものが長い目で見るとよろしいかと思います。
ランニング中の悩みのひとつとしてスマホの置き場所がございます。スマホなんて家に置いて走れば良いではないか、そう思えればそれが最善であることは間違いありません。ただそんな訳にもいかないので現代人は腕にアームバンドを装着してスマホと共に走るのです。そしてそんなものは走りに邪魔なだけであることにすぐ気づくのです。もう少し早く生まれていればこんな悩みは生じなかったでしょう。スマホはランニングジャケットの胸ポケットに入れるのが最も揺れません。
冬にはネックウォーマーが手放せません。首を温めるだけで不思議なほど暖かい。寒さは気力を削ぎますので、かさばらない防寒具としてネックウォーマーは必須アイテム。
(引用:https://www.zamst-online.jp/)
防寒具と言えば腕に装着するアームウォーマーなどもございます。このようなワンポイントアイテムは派手めのカラーバリエーションで展開されがちですが、最終的には黒に落ち着くことになります。 かつて古河はなももマラソン用にピンクのアームウォーマーとゲイターを購入したのですが、 普段のランニングで身につけるのは想像を超える恥ずかしさで、且つ他のランニングウェアとコーディネイトしにくく、その後タンスの肥やしとなりました。ワンポイントアイテムでの冒険は危険が伴います。
┃まとめ |
これまで購入したランニングアイテムを振り返りました。どれほどのお金を費やしたのでしょうか。少なくとも家など建つはずもなく中古の軽自動車すら買えないでしょう、やはりランニングはお金のかからない遊びであると実感せざるを得ません。
●買ってよかったものベスト5
1位 GPS機能付きランニングウォッチ
2位 サングラス
3位 ランニングバッグパック
4位 5本指ランニングソックス
5位 asicsターサージール
今、これが無ければ走れない!と言えるものを選びました。
●買わなければよかったものベスト5
1位 ボトル付きウエストポーチ
2位 サンバイザー
3位 ピンクのアームウォーマー
4位 スマホ用アームバンド
5位 サイズの合わないウェア各種(同じLでも大きすぎ)
とにかく性格と身体に合わないものを選びました。
ときどき、ランニングを始めたい人から「何を買えばいいの?」と尋ねられることがありますので、今回はランニングアイテムについてまとめてみました。これからランニングを始められる方のお役に立てれば幸いです。もちろん、こちらで述べたことはすべて個人の感想ですのであしからず。長文お読み頂いてありがとうございました。