未だ破る気力が全く起きないハーフマラソンのベストタイム1時間27分59秒。
これを出したのが3年前の秋、第二回北信州ハーフマラソンでのことでした。この大会でベストを狙うべく夏場は苦手なスピード練習をこなし、変化に富んだコース対策もそれなりに考え、asicsのターサージールを購入し、当日は朝4時に起きて臨んだレースのことは今でもキラキラと黄金色に輝くいい思い出。計算通りうまく運んだレースほど充実感に溢れるものはありません。
この北信州ハーフマラソンが今年も9月24日(日)に開催されます。長野駅から北陸新幹線が延伸し、新たに誕生する「飯山駅」に乗じる形で”町おこし”的にスタートしたこの大会も今年で5回目。ハーフ、10km、3kmを合わせて3,000名を超えるランナーがエントリーし、「全国ランニング100選」にも選ばれるなど、事務局をはじめとしたスタッフ、ボランティアの方々の素晴らしい大会運営によってすっかり地域とランナーに根ざした大会となりました。
(写真は公式サイトより引用)
秋の北信州、野沢温泉村をスタートし木島平村を通り抜け飯山市をゴールとする21.0975kmのコースの特徴は何と言っても色彩豊かな風景と強烈な下り基調の起伏に富んだ地形。目まぐるしく変化し続ける景色と状況に飽きることなくゴールを迎えられること間違いなしです。
特に野沢温泉村から木島平村にかけては実りの秋を肌で感じることのできるエリア。頭を深く垂れ下げた黄金色に輝く稲穂の絨毯はあの「風の谷のナウシカ」を彷彿とさせるこの大会のハイライトシーン。ゴール後にはそのお米で握られた美味しいおにぎりが振る舞われることも楽しみのひとつです。
山々の麓に位置する素朴でどこか懐かしい家並みはまさに日本の原風景。沿道には、飯山市在住の人形作家高橋まゆみさんの作品世界そのままのおじいちゃん、おばあちゃんの姿も。地元の方の暖かな応援も息が上がった身体に大きな力を与えてくれます。本来であればそんな素敵な沿道の写真をご紹介するべきですが、手元には一枚の写真もございません。大会の思い出は記録よりも記憶で残す。独りで走るマラソン大会あるあるです。(もちろんこの大会にもフォトサービスはありますが、ご多分に漏れずお高いので一枚も購入しておりません。)
北信州ハーフマラソンには第一回と第二回の2度参加させて頂きましたが、今年は大きくコースが変わっているようです。それでも高低差を見る限り強烈な下りは顕在。脚の余力をどう残すかがポイントのコースです。つい下りに目がいきがちですが、実は細かな登りも多く、特にスタート直後の登りは予想を超える角度で襲ってきます。脚を温存しようにもいきなり脚を使うのでアップは多めにするのがおすすめです。そして長い下りを下り切った10km以降はフラットな場所でも登っているかのような感覚に。しかも12〜13km以降は風にさらされる可能性もあるので、ここからの粘りが最も肝心。千曲川を渡るラスト直前の中央橋あたりでは、あまりの苦しさに僕は目を閉じて走っていましたが。
僕が走った過去二回はいずれも天候に恵まれ日差しもきつく、スタート時こそぶるぶる震えがくるほどの肌寒さでしたが、日差しがあれば緊張した身体には丁度いいくらい。道中は25℃を超え頭に水をかけるなどとても暑かったと記憶しています。それだけに空の青と山の緑と田園地帯のコントラストが見事でした。
リニューアルされたコースでは、ハート型の湖として知られる「北竜湖(ほくりゅうこ)」の湖岸も走るようです。恋愛成就のスポットとして密かな人気を集めるエリアだけに、新しいドラマが生まれるかも!?
9月は各地で魅力的なハーフマラソンの大会が開催されていますが、この北信州ハーフマラソンは、他に類を見ないコース設定と素晴らしい自然と美味しい料理を堪能できる地元愛を差し引いてもおすすめの大会です。春からしっかり走り込んだ人には、いつにも増して実りの秋が訪れるかもしれません。あと一週間に迫った第五回大会がみなさんにとって良い思い出になりますように!僕は来年参加します。