3月19日(日)に開催される板橋cityマラソンを走ります。今回で5回目のフルマラソンとなります。
趣味の欄にランニングと書いてからもう5年以上は経つような気がします。仕事ばかりの夜型人間で、走ることなど無縁の生活を送っていた僕が走る楽しさを一方的に見つけ出しフルマラソンを走ることになろうとは、これも時代の流れか加齢のおかげです。
走り始めたきっかけはありがちな理由で、「不摂生の暮らしに危機感を覚えたから」それに尽きます。無駄な贅肉もつき、頑張らなくても息を切らし、気づけばタクシーに乗りがちになる。定期的に猛烈な頭痛や吐き気に見舞われたり、お腹の説明できない所が痛くなったり、自分の身体が制御不能になっていくような不安感が少しずつ大きくなっていきました。
身を粉にしている割に仕事でも特に大きな成果を挙げることなく、中堅特有の立ち回りや捌きで多くの案件をこなす毎日。これは変えなければならない、変えなければ走馬灯がつまらない、でも、何を変えればいいんだろう?
その“変えること”に白羽の矢が立ったのが、タバコを辞めること、もうひとつはランニングをすることでした。
1日に1箱吸っていたタバコを辞めれば身体にいいし、走ればもっと身体にいい。だから、ぼくのランニング歴は禁煙期間とイコールなのです。もはや最後に吸ったタバコの味など覚えていません。
「タバコの記憶を忘れたら禁煙は成功だ!」
なんて言われますので、禁煙は成功です。そしてその成功の理由こそがランニングです。
ランニングを始めた当初は3km走れば体力の限界、気力もなくなり足が止まりました。身体は重く、息も切れる、多分見た目も相当格好悪い。ああ惨めだ。ジャージもシューズもこだわりもなく全てが格好悪い。
走り終えるとタバコが吸いたい。
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でも吸ってしまったら、今にも増してランニングが辛いものになる。
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タバコを辞め続けることで、ランニングが楽になる。
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颯爽と格好良く走れるものになるに違いない。
禁煙とランニングを持ちつ持たれつの関係にしたことで三日坊主にならずに済んだのです。
走れば走るほど長い距離を走れるようになります。息を切らせば切らすほど早く走れるようになります。目にみえて上達するわかりやすさが、目にみえて評価されない仕事では味わえない達成感でランニングを続けるモチベーションになりました。
3kmだったものが5kmになり、10kmになる。自分の脚で10kmも移動できるなんて、もう自転車もタクシーもいらない。そして遂にハーフマラソンの距離21kmもクリアすると近隣の街は全て徒歩圏内と脳みそが判断しだします。距離感がバカになるのです。
ハーフの次はフルマラソンの42.195km、途方もない距離ですが、距離感がバカになっていますので、脚は常に距離を求め、効率の良いフォームを考え、食事にも気を使うようになります。生活がすっかりマラソン仕様になっていきます。
周囲からは病気を心配されるほど体重は落ち、不摂生だった中年は遅れてやってきたアスリートに生まれ変わるわけです。アスリートなので試合に出たくなるのは当然のこと。はじめてフルマラソンを走ったのが4年前の古河はなももマラソン。
初42kmはとにかく長く苦しく果てしなく、意識が遠のく中でこの苦しい身体は自分の身体じゃないんだと言い聞かせ現実逃避しながら走り続けました。そんな逃避行も35kmを過ぎようやく終わりが見えてきた時、どこからともなく力が出てきて身体が軽くなってくるのです。周りから見たら不格好そのものでも走る本人はアスリート気分で駆けていきます。沿道の応援も身にしみ入り、涙腺を刺激します。オリンピックに出たい人の気持がこの時はじめてわかりました。
初マラソンは3時間40分。ゴールした後は安心感と達成感のパレードです。3時間40分前の自分ではない、フルマラソン完走者の称号を得た自分がいました。
そして思うのです、また走りたい…。
あんなに苦しく辛く長い道中でもゴール後の達成感には勝てませんでした。そして今年も3月19日(日)に板橋cityマラソンを走るわけです。あーしんどい、嫌だな〜と思い続けながら。ゴール後の達成感を味わいに。
(昨年の長野マラソンの41kmくらい)